函館本線(山線)の小樽―倶知安間、「夕方に定期運行される3両編成」キハ201系はどのような様子か
2024年2月に入り、函館本線(山線)の小樽―倶知安間では、地元の利用者に加え観光客で連日混雑していることから、通常は2両編成のH100形気動車で運行されている日中の列車の一部が3両編成のキハ201系で運行されていることは2024年2月18日付記事(観光客殺到で日中3両編成化の函館本線(山線) 増車最終日の倶知安ー小樽間乗車ルポ)と2024年2月24日付記事(この3連休も函館本線(山線)「キハ201系3両編成」の日中運行乗車ルポ 混雑は依然として収まらず)で詳しく触れた。
山線での3両編成のキハ201系気動車の運行は、通常は朝夕のみの運行であるが、今回は、この通常運行のキハ201系に小樽―倶知安間で乗車した。乗車したのは、1日1本だけ札幌駅から倶知安駅に直通する快速ニセコライナーだ。
混雑は変わらず
筆者がこの日乗車したのは、小樽駅を18時42分に発車する倶知安行だ。この列車は札幌駅を17時49分に発車し、小樽駅までは快速ニセコライナーとして運行される。途中停車駅は、琴似、手稲、小樽築港、南小樽だ。そして、小樽駅には18時29分に到着する。
筆者が小樽駅の改札口を抜け、倶知安行が発車する2番線へ向かったのは、発車の20分前となる18時20分過ぎ。しかし、すでにホームには地元の利用者に加え大型のスーツケースを持った旅行者が列をなし列車の到着を待っていた。
小樽駅まで快速ニセコライナーとして運転される倶知安行は、6両編成で小樽駅へと到着。小樽駅では13分停車し、このうち後ろ3両を切り離す。倶知安駅まで行くのは前3両のみである。小樽駅に到着したニセコライナーの後ろ側の3両からスーツケースを持って下車した旅行者は、車内アナウンスに促されたのか、そのまま前側3両へと移動していた光景も印象的だった。
なお、小樽駅で切り離された後ろ側3両は、3時間ほど小樽駅の構内側線で待機したのち、21時35分発の倶知安行として運行される。
最終的に小樽駅発車時点で確認できた乗客数は約130名。車内は、ほぼ全員が着席できてはいたものの立ち席客も一部で見られた。さらに、間口が広くとられた車端部のドア付近に旅行者のスーツケースが置かれているのもいつもの光景だ。これが、1両の座席定員が36名の2両編成のH100形では小樽駅発車時点で60名近い立ち席客が出た上に、狭い通路に置かれたスーツケースでかなりの圧迫感を感じたことであろう。
なお、途中の余市駅では20名ほどが乗車し、5名が乗車。倶知安駅まで乗り通したのは100名以上だった。
新幹線が開業すればこうした旅行者は全て新幹線利用に移るという主張もあるが、小樽駅から倶知安駅に向かう旅行者も一定数見られること。新幹線の新小樽駅が町はずれの不便な場所に建設されていることから、新小樽駅は、小樽運河などの観光スポットに徒歩でアクセスできる現在の小樽駅とは違い、小樽観光に適さないことは明白なことなどからこうした主張は無理があるように感じられた。
倶知安駅からはバスやタクシーで目的地に向かう観光客の姿
倶知安駅で下車した旅行客は、駅前からヒラフリゾート地区へのシャトルバス、宿の送迎車、タクシーなどで目的地に向かう様子であった。過去に2023年9月9日 付記事(せめて倶知安までは残して欲しい! 泥沼化の北海道新幹線「並行在来線」、バス会社社員の悲痛な叫び)では、特に「外国人観光客は大型のキャリーケースを持って移動することから、定員70名のバスにどんなに詰め込んでも35名程度しか乗せられない現状」があるというバス会社の現場の声を紹介したが、実際にシャトルバスの様子を見ても大型のキャリーケースがスペースをとり、バス車内はかなり窮屈そうな印象を受けた。
函館本線の山線については、北海道庁が主導する密室の並行在来線対策協議会で、強引に廃止の方針を決定したが、深刻化するバスドライバー不足の問題からバス転換協議が中断中だ。さらに、倶知安町長は、在来線が新幹線新駅の工事に支障することを理由に在来線を新幹線開業前の2025年での廃止を主張している。一方で、道庁が提案しているバス路線案は、小樽―倶知安間については、バス路線を余市で分断し、倶知安から小樽に向かうためには余市での乗り換えを強いるというものだ。さらに、この区間がバスになってしまうと、現行の1時間程度の所要時間が2倍程度に延び利便性が大きく低下することは明白だ。
さらにバスドライバーやタクシードライバー不足が深刻化する中で、新幹線開業前に鉄道廃止を強行してしまえば、ニセコリゾートエリアの玄関口となる倶知安へのアクセス手段そのものを失いかねない。倶知安町長は、こうした現状についてどのような認識を持っているのか、非常に興味深い。
(了)