この3連休も函館本線(山線)「キハ201系3両編成」の日中運行乗車ルポ 混雑は依然として収まらず
2024年2月23日の天皇誕生日から始まった3連休。函館本線(山線)の小樽―倶知安間では、再び日中に3両編成のキハ201系が投入されている。
キハ201系の予備車を導入
JR北海道は2024年2月3日より18日まで、日中の函館本線(山線)の小樽―倶知安間に普段の2両編成のH100形気動車に代わり3両編成のキハ201系気動車を導入し話題となっていたことは、2024年2月18日付記事(観光客殺到で日中3両編成化の函館本線(山線) 増車最終日の倶知安ー小樽間乗車ルポ)で詳しく触れた。
全国紙の北海道版が報じたところによると2月3日から2週間限定で運行が行われた日中のキハ201系による運行は、さっぽろ雪まつりと中国の春節(旧正月)への対応から輸送力を増強するためにキハ201系の予備車を活用し実施したという。キハ201系による運行は倶知安11時46分に発車する小樽行であったが、2月7日にはH100形で運行される倶知安9時36分発の小樽行では余市駅で、一部の利用者が乗車できない、いわゆる「積み残し」が発生した。
2月19日からは、日中の列車は全てH100形の1両または2両編成に戻っていたが、この3連休中には再びキハ201系が投入されているようで2月24日の倶知安11時46分発小樽行でその様子を確認できた。
3連休初日となる2月23日はX(旧ツイッター)を見ても特にキハ201系の目撃情報は上がっていなかったが、筆者が3連休中日となる2月24日に倶知安11時46分発の小樽行に乗車しようとしたところ、ホームにはキハ201系が停車しており正直驚いた。
倶知安駅は出札・改札要員をワンオペから2名に増員
2024年2月24日、筆者は、再び午前11時過ぎに倶知安駅を訪れた。小樽行の普通列車の発車までまだ40分以上あるが、大型のキャリーケースを引いた旅行者や、宿からの送迎用のワゴン車が次々と駅に到着する。1週間前は、それぞれ1つずつしかない券売機も駅窓口も長蛇の列で、筆者は切符を買うだけでも30分以上並ばなくてはならなかったが、この日は、券売機や窓口の混雑はそれほどでもなく、すぐに目的地までの切符を購入することができた。
その後、筆者は駅待合室で小樽行の改札が始まるまで列車を待つことにするが、待合室も11時46分発の小樽行を待つ乗客だけではなく12時35分発の長万部行を待つ乗客で混雑していた。待合室で筆者の隣にいた日本人のグループ旅行者は、長万部から特急北斗、新函館北斗から新幹線はやぶさに乗り継ぎ首都圏方面に帰宅するという趣旨の話をしていた。山線の需要は、地域輸送に加え、余市、小樽への観光需要、新千歳空港へのアクセス需要だけではなく、長万部駅から特急列車を介して新幹線アクセスの役割も果たしていることが浮き彫りとなった。
1週間前は、切符の販売などを行う出札業務と改札業務を1人で行っており、小樽行の改札開始は列車の出発間際。待合室の端まで長蛇の列をなした約110名の乗客が、改札開始と同時に一気にホームへとなだれ込んだが、この日は11時30分頃に改札を開始、出札対応と改札対応にそれぞれ1名ずつ職員が配置され、切符の販売も改札もスムーズな様子であった。
筆者は、この時まで、11時46分発の小樽行は2両編成のH100形に違いないと思い込んでいたが、倶知安駅のホームへと出てみると、そこに停車していたのは3両編成のキハ201系気動車で一瞬目を疑った。11時30分の改札と同時に乗車した乗客は90名程度であったが、最終的には120名の乗客を乗せて倶知安駅を発車した。この日は、倶知安駅の出発時点でも若干の立ち席客が見られた。
通路にキャリーケースを置いても圧迫感なし
倶知安地区を訪れる旅行者は、日本人、外国人問わず大型のキャリーケースを持参していることが大きな特徴だ。こうしたことから、通路が広くとられているドア付近にキャリーケースを積み上げていた旅行者の姿もみられたが、圧迫感は感じられなかった。そして、いつも積み残しが懸念されている余市駅からはこの日も60名近い乗客が乗車。余市駅からの乗客も大型のキャリーケースを持った旅行者の姿もみられた。また、先週と同様に倶知安駅からの乗客のうち余市駅で10名以上の下車があった。
なお、2両で72席分しか座席の無いH100形気動車では、倶知安駅発車時点で50名近い立ち席客が生じ、余市駅からはそこにさらに60名詰め込むことになる。H100形1両の定員は立ち席客を含めて99名であるが、多くの乗客が大型のキャリーケースを持参しての乗車となることから、これが2両編成のH100形となれば車内の混雑は相当なものとなったことであろう。
倶知安町長は、新幹線新駅の整備に支障ができることから、在来線の早期撤去を求めており早ければ2025年には在来線を廃止したいという考えを示している。しかし、沿線にバス路線網を展開する北海道中央バス、ニセコバス、道南バス3社は、バスドライバー不足などを理由に鉄道代替バスの引き受けが難しいとして、並行在来線のバス転換協議が中断に追い込まれている。
公式の発言を見る限り、倶知安町長は、新幹線新駅の整備のみにしか意識が及んでいない様子であり、バスドライバー不足の問題や在来線を2次交通として活かすことにより新幹線の経済効果を地域に波及させようとする発想は見られない。バスドライバー不足問題と車両数を増やさなければばらないほどの在来線の混雑があることの2点から、早期の並行在来線の廃止は、地域社会や地域経済に混乱をもたらせかねないことを危惧する声も上がり始めている。しかし、こうした問題に対する意識がなく、近視眼的な新幹線新駅の整備にしか目が向いていない姿勢は首長のあり方としてはいかがなものであろうか。
(了)