あなたの家の周りにも山ほどいる身近なかわいい害虫その5=クロケシツブチョッキリ(バラゾウムシ)
先日紹介したチュウレンジバチは、バラの葉を食べつくして、丸坊主にするが、クロケシツブチョッキリ(バラゾウムシ)は、主にバラの蕾(つぼみ)を攻撃する。
葉は元気なのに、なぜか蕾だけが枯れていく。バラは、きれいな花が咲いてこその存在。葉を見るためバラを育てている人はいない。その花になるはずの蕾が、次々に枯れて、ボトボトと地面に落ちていく。バラ愛好家にとって、これほどショックなことはない。
クロケシツブチョッキリは、その名の通り、黒くてケシ粒のように小さい(体長3ミリほど)チョッキリだ。チョッキリの仲間には、産卵後の蕾や実を付け根でチョッキリして落とすものが多いので、こんな変な名前になったらしい。
クロケシツブチョッキリは、バラ園芸家にとっては許しがたい犯罪者だが、このチョッキリはもちろん、バラの花が嫌いで蕾を攻撃するのではない。幼虫の餌がバラの蕾なので、蕾に産卵し、蕾の付け根の茎を傷付けて枯らし、地面に落とすのだ。
園芸家が地団太踏むのを横目に、虫好きはバラの蕾の上で交尾に励むクロケシツブチョッキリの写真を撮って喜ぶ。チョッキリの仲間は、長い口(口吻)が可愛らしく、ピカピカ輝く種も多いので、虫好きの間では人気が高い。(写真は特記しない限りすべて筆者撮影)