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カブトムシ幼虫のオチンチン?=お尻近くにⅤ字があればオス#カブト幼虫のオスメス見分け方

天野和利時事通信社・昆虫記者
カブト幼虫オスメスの見分け方。中央の写真の↑部分にあるⅤ字がオスの印。右端は雌。

 カブトムシの幼虫の季節がまたやってきた。昨年もこの季節に堆肥や腐葉土の中で幼虫を見つけて、虫好きの友人に配ったりしたのだが、そこで大問題が生じた。

 友人のAさん(女性)におすそ分けした4匹の幼虫が、今年夏にすべてメスの成虫になったのだ。立派な角のオスの誕生を期待していたAさんは、非常にがっかりし、それ以来昆虫記者に対して妙に冷たくなった。

 もしかするとAさんは「要らないメスをわざと押し付けられた」と誤解して激怒し、昆虫記者への復讐を心に誓っているかもしれない。

 もちろん昆虫記者はそんな極悪人ではない。単にカブトムシの幼虫のオスメスの見分け方を知らなかっただけなのだ。

カブトムシの幼虫。11月にはもう、ほぼ最大級の大きさになっている。
カブトムシの幼虫。11月にはもう、ほぼ最大級の大きさになっている。

 昆虫写真家で虫友のⅯ氏にその話をすると「オスメスの見分けは簡単ですよ」と一笑に付された。Ⅿ氏によると、カブトムシのオスの幼虫には「ちゃんとオスの印が付いている」という。「えー、幼虫なのにオチンチンがあるんですか」と、無知丸出しで驚く昆虫記者。「蝶に例えるなら性標(オスであることを示す印)のようなものですね」と冷静に解説するⅯ氏。

カブトムシのオスの幼虫のお尻近くには、オスであることの印となるⅤの字(矢印部分)がある。
カブトムシのオスの幼虫のお尻近くには、オスであることの印となるⅤの字(矢印部分)がある。

矢印の部分にⅤ字の印がなく、つるつるなので、カブトムシのメスの幼虫と思われる。
矢印の部分にⅤ字の印がなく、つるつるなので、カブトムシのメスの幼虫と思われる。

カブトの幼虫は丸まろうとするのでオスメスの判定は結構大変。オスの印が不明瞭なケースもあるので、正確な判定は容易ではない。
カブトの幼虫は丸まろうとするのでオスメスの判定は結構大変。オスの印が不明瞭なケースもあるので、正確な判定は容易ではない。

 そして今年も11月に入って、カブトムシの大きな幼虫を手に入れた。今年夏に自宅で孵化した幼虫を、生みの親の故郷である神奈川県の森の腐葉土に戻していたのだ。そこで大きく育った幼虫たちの一部を11月に入手した。つまり、今年入手した幼虫の中には、昨年飼育した幼虫の子孫が含まれている可能性が高いということになる。

 今年もAさんに、幼虫を贈呈しようと思っている。もちろん、昆虫記者が自信を持ってオスと判定した幼虫だ。

 今回のオスメス判定がもし間違っていたら、Aさんとの関係はもはや修復不可能になるだろう。森上氏の説明と、昆虫記者の判定が正しいことを祈るだけだ。

(写真は特記しない限りすべて筆者=昆虫記者=撮影)

時事通信社・昆虫記者

天野和利(あまのかずとし)。時事通信社ロンドン特派員、シンガポール特派員、外国経済部部長を経て現在は国際メディアサービス班シニアエディター、昆虫記者。加盟紙向けの昆虫関連記事を執筆するとともに、時事ドットコムで「昆虫記者のなるほど探訪」を連載中。著書に「昆虫記者のなるほど探訪」(時事通信社)。ブログ、ツイッターでも昆虫情報を発信。

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