【もっと痩せ型のランナーが!?】大学生長距離ランナーより痩せ型なのは短距離ランナー?中距離ランナー?
冬が近づき、学生駅伝が開催されるようになりました。細い体で力強く走るランナーの体をみて、あんなに瘦せていて大丈夫なのか?どこにそんな力が秘められているのか?と疑問に思う方もおられると思います。ですが、実は大学生の長距離のランナーより痩せている競技があるんです。2023年10月にポーランドで報告された文献をみてみましょう。
文献では平均20.7歳の男子大学生陸上競技選手68人を調べています。内訳は短距離(200~400m)26人、中距離(800~1500m)22人、長距離(3000~10000m)20人となっています。地区大会や全国大会の競技会に参加する競技レベルで、少なくとも週に4回、1日2時間のトレーニングを行っているようです。標準的な大学の体育会の陸上競技部と思われます。
その学生ランナーを、短距離・中距離・長距離に分けて体型を分析しています。体型は1940 年にW.J.Sheldonにより提唱され、HeathとCarterにより修正された身体型検査法で行われています。
中距離ランナーは、短・長距離ランナーと比べて有意差を持ってやせ型に近いことがわかりました。大学駅伝のランナーは細身で颯爽と走るイメージですが、それよりも中距離ランナーの方が痩身なんです(中距離走者が駅伝を走ることもあります)。
そして次に体組成をみてみます。ここでは除脂肪体重をさらに体細胞(骨格筋、内臓、血液、脳など)と、細胞外マトリックス(血清、体液、腱、真皮、骨の大部分など)に分けて分析しています。
体組成をみると短距離から中距離、長距離になるに従い脂肪の割合が多く、体脂肪が多くなっています。短距離ランナーは、インナーマッスルや下肢筋の断面積がパフォーマンスと相関するとも言われるので、体細胞率が多いのは納得できます。また長距離ランナーは、体脂肪がないとそもそもハードな走り込み練習ができないではないかと思います。中距離ランナーはやせ型なものの、体組成的には短距離ランナーと長距離ランナーの中間である事がわかります。
日本で同様な研究をしても同じような結果は得られない可能性もありますが、ポーランドで大学生のランナーを分析すると、中距離ランナーは体型的に短・長距離ランナーよりやせ型なものの、体組成的には両者の中間であったということです。
ですがこんな文献もあります。1996~2011年の国際大会の上位100人の体重を調べた別の文献によると、10000mまではランナーのBMIが少ない傾向にあったそうです。人種による違いもあるかもしれませんが、本当に世界のトップレベルのランナーは、10000mまでは筋肉や体脂肪が少なくても、しっかりした練習ができて走れる体が必要なのかもしれません。