2020年東京オリンピックは猛暑か!
前回、東京オリンピック(1964年)の日程が、天気を考慮して決まったというのは、有名な話です。 夏の暑い時期を避け、しかも秋雨と台風シーズンの終わる頃ということで、10月10日(土)の開会式が決まりました。
この決定の裏では、気象庁の統計的な資料と予報官の意見も参考にされましたが、当日は実況のアナウンサーが「世界中の青空を全部集めてきたような秋晴れ・・・・」と形容するほどの晴天に恵まれ大成功でした。また、期間中の気温も16~20度くらいで、スポーツの最適温度だったと言っていいでしょう。
さらに1988年のソウルオリンピックも、東京の成功を受けて開会式を秋にずらし、9月17日と決めました。韓国でも8月は暑いので、高温と秋雨をさけてこの時期の開会になったのだと思われます。
そして今回、2020年のオリンピックとパラリンピックが、東京で開催されることに決まり、たいへん嬉しく思います。ただ今回の日程は、そうした気象に対する条件を考えると、過酷な暑さの中での競技となり、選手にとっては暑さとの戦いになることは確実だと想像できます。
というのも、最近の日本は亜熱帯化しているなどとよく言われますが、こと真夏に限っていえば、熱帯と言ってもいいくらいで、日によっては、世界で最も暑い中東並みの気温になるからです。今後2020年に向かって、さらに都市気候や温暖化が進むと、気温だけでなく、局地的な豪雨や落雷も増える恐れがあります。
オリンピック招致委員会の開催日程によると、開会式は2020年7月24日(金)で、翌25日~8月9日までの16日間に競技が行われるそうです。
実は7月下旬から8月上旬というのは、一年で一番気温の高い時期で、東京では35度を超える事も珍しくありません。しかも近年は、その猛暑日が明らかに増える傾向にあるのです。(図)
実際に今年の8月上旬は、35度前後の日が一週間以上も続き、記録的な暑さになったことは周知のとおりです。
環境省の熱中症予防情報のサイトには、気温が35度以上を超えると、特別な場合をのぞいて、運動は原則中止となっています。オリンピックは特別な場合ですから、さすがに中止ということにはならないでしょうが、熱中症リスクが高まることは確かでしょう。
となると、個別の競技によっては早朝や夜間に行うなどの工夫が必要で、競技日程の作成には、気象条件を十分考慮していただきたいと思います。
環境省・熱中症対策