営業の問題を解決する3種類の「対策」とは?【法人営業大学】
私は企業の現場に入って目標を絶対達成させるコンサルタントだ。20年近くクライアント企業のいろいろな会議にオブザーバー参加してきた。
そのうえで断言できる。残念な部下が考える「対策」には、共通している欠点がある。それはいったい何か?
そこで今回は、優秀な部下は会議中にどんな「対策」を口にし、残念な部下はどんな発言をするのか? 3種類の「対策」を使いながら解説していく。ぜひ最後まで読んでもらいたい。
■ビジネスシーンにおける「対策」とは?
上司が会議中に「今後どうするんだ?」と尋ねたあと、部下はどのような「対策」を口にするのか?
「対策」の表現方法には3種類あるが、まずは、そもそも「対策」とは何かについて考えてみたい。
対策とは、何らかのトラブル、問題が発生したとき(想定したとき)に講じる手段である。わかりやすい例は「花粉症対策にマスクをする」といったものだ。
ただ、ビジネスシーンにおいて、「A」という問題には「X」や「Y」「Z」という対策を講じればいい、というケースがどれぐらいあるだろうか?
「世間では顧客データの情報漏洩が問題になっています」
「当社もセキュリティ対策をしっかりやってくれ」
「地域で車の盗難が増えています」
「社用車の盗難対策が必要だな」
あったとしても、このように議論の余地もないような、ありきたりなものが多い。だから一般的な「対策」というのは「課題の解決策」ということになる。
つまり「仮説」なのである。風邪の予防対策として「手を洗う」のは仮説ではない。答えだ。議論の余地がない。しかし答えではない「仮説」には、議論の余地があるのだ。
だから会議で集まって、上司が「今後どうするんだ?」と部下などに尋ねるのである。
会議中にどんな対策を口にするのか? その対策の内容で部下の思考レベルがわかる。なぜか? 当然、仮説思考のレベルが関わるからだ。
仮説思考に関しては、ぜひ以下の記事を参考にしてもらいたい。
<参考記事>
■【大作】頭の回転が遅い人・速い人の違い 「仮説思考」を身につける6つの基本手順
■3種類の「対策」の表現
「対策」には、以下の3種類の表現方法がある。
(1)行動の有無
(2)行動の程度
(3)成果の確率
わかりやすくするために、会話事例を使って解説しよう。
<行動の有無>
上司:「SNSマーケティングで成果が出ていない。今後どうするんだ? 対策は?」
部下:「これからはショート動画も発信していきます」
上司:「社長には協力してもらっているのか?」
部下:「いや、まだです」
上司:「1月から言ってるだろう。早くしたまえ」
「やっている/やっていない」が対策になっている。これが「行動の有無」だ。先述した
「花粉症の対策にマスクをします」
と言っているのと同じで、対策を講じれば課題解決すると思い込んでいる。これが残念な部下の「対策」である。
<行動の程度>
上司:「SNSマーケティングで成果が出ていない。今後どうするんだ? 対策は?」
部下:「今後は発信の量を増やしていこうと思っています」
上司:「量だけ増やしていいのか?」
部下:「同時に発信の質もアップさせます」
「やっている/やっていない」だけでなく、どれぐらいやっているのかを対策に盛り込むのが「行動の程度」だ。
「行動の有無」も「行動の程度」も、行動の視点でしか考えていない。これでは仮説検証はできないだろう。
<成果の確率>
上司:「SNSマーケティングで成果が出ていない。今後どうするんだ? 対策は?」
部下:「月間の発信量100に対して、平均インプレッションが30万。リンクのクリック数は1000回です。リンクのクリック数をあと2倍にはしたいです」
上司:「そのためにどうする?」
部下:「プラットフォームが動画を優遇していくと表明しているので、100の発信量のうち半分の50をショート動画に変更します。そうすることでリンククリック数は2000回を超えると考えました」
このように言えば、
・どれぐらいの行動することで(仮説)
・どれぐらいの成果を得られるか(検証)
がわかりやすくなる。
仮説と検証。この2つをセットで対策案を出せば、うまくいかなくても、どの「見通し」が甘かったのかがすぐにわかる。
雨漏り対策とか、自転車の盗難対策を聞いているわけではない。マネジメントサイクルを回すための「仮説」が問われているのだ。
いったんは頭の中で仮説検証サイクルを回し、対策を口にしよう。そのための正しいやり方をぜひ習得してもらいたい。
<参考記事>