実写画像に映った特殊地形と驚くべき新事実
どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。
今回は「金星は生きていた!?金星の特殊地形と新発見」というテーマで動画をお送りしていきます。
●金星表面の特殊な地形
金星は太陽系屈指の過酷な環境を持つ惑星です。
分厚い硫酸の雲に覆われた地表の大気圧は地球の90倍を超え、表面温度は平均で450度を超える、まさに地獄のような惑星です。
このような想像を絶する環境のため、これまで金星の地表に降り立つのに成功したのは、今から40年以上前にソビエト連邦によって行われたベネラ計画が唯一となっています。
ベネラ計画によって複数の探査機が金星の地表に降り立ち、複数地点におけるいくつかの実写画像が公開され、地表を構成する物質や地形など、多くの情報をもたらしました。
その後は他の計画によって金星地表に降り立つことはありませんでしたが、金星の周回軌道に乗り、宇宙空間からレーダーを用いることで、金星表面に様々な特殊な地形が存在することが明らかになりました。
上記画像の左が「コロナ」という円環状の地形で、直径が300kmほどもあります。
巨大なものだと1000kmを超えることもあるそうです。
地殻の盛り上がりに加えて溶岩流が見られることから、コロナ地形は金星の地下にあるマントルの対流により上昇した物質(プルーム)が、地殻を突き破って噴出することで形成されたものであると考えられています。
また、画像真ん中は「アラクノイド」と呼ばれる地形で、蜘蛛の巣のような形をしていますが、直径は100kmほどでコロナより小さいです。
そして画像右側は「ノバ」と呼ばれる地形であり、放射状に亀裂が伸びているのが特徴です。
直径は300kmほどあります。
アラクノイド、ノバ共にやはり金星の地下での活動によって形成された構造であるそうです。
これらのような地形は地球でも見られますが、大きさは金星のものの方が遥かに大きいという特徴があります。
これらの地形は確かに金星内部の活動の根拠となりますが、どれも大昔に形成されたものであり、現在では金星内部は冷えて固まって、地球のような活発なプレートテクトニクスは働いていないと考えられていました。
●金星の火山は今も活動中だった!?
そんな中、冷えて固まってしまったと考えられてきた金星がなんと現在でも活発である可能性を示す研究成果が、2020年7月にメリーランド大学などの研究チームによって発表され、大きな話題を呼んでいました。
研究チームは金星地下における活動の精密な3Dシミュレーションを行ったところ、先述のコロナ地形がどのように形成されるのかを解明することに成功しました。
またこの成果によって、コロナ地形の形状ごとにその地下で起きている活動を推測することも可能になりました。
つまりある特定の形状を持ったコロナ地形があれば、その地下では活動が現在でも続いていると判断できます。
その結果、金星表面で現在でも活動状態にあるコロナ地形が、実に37個も発見されたそうです!
この動画における白い点が活動していないコロナ地形、赤い点が活動中のコロナ地形であることを示しています。
このような活動的なコロナ地形が存在する分布図を作成できたおかげで、今後金星内部の活動や仕組みを一層理解していくのに役立つと期待されています。
ただし今回の研究ではコロナ地形の地下数百の範囲の活動のみがシミュレーションで再現されましたが、実際は1000km以上深くの領域での活動も、コロナ地形の形成に影響を与えている可能性もあるそうです。
しかしそのような深さまで再現したシミュレーションは膨大な計算が必要となるため、今回の研究では実現しませんでした。
今後さらに高性能なコンピュータが用いられ、金星内部の環境が解明されることに期待です!
●今後の金星探査計画
金星は宇宙規模で言えば地球から非常に近くにあるにもかかわらず、現在でも多くの謎に包まれた惑星です。
そんな金星の謎を解明すべく、NASAは2028年~2030年までの間に開始予定の2つのミッションを発表しました。
一つ目の「DAVINCI+」というミッションでは、なんと金星大気に球形の探査機を突入させるそうです。
そこで大気の組成を正確に測定することで、金星大気の歴史や、金星がここまで地球と異なる環境になってしまった原因を探ります。
また、かつて金星は地球のような温暖な環境だった可能性がありますが、その真偽も確かめます。
さらにDAVINCI+は、地球の大陸に相当するとされる「テッセラ」と呼ばれる金星特有の地形を初めて高解像度で撮影することで、金星にプレートテクトニクスが働いている可能性をより正確に解明する目的もあります。
そして二つ目の「VERITAS」というミッションでは、金星を周回する探査機を打ち上げ、金星のほぼ全域の3次元の地形をレーダーで解明し、こちらも火山活動などプレートテクトニクスが働いているのかを詳細に調べます。
さらに金星表面から宇宙空間へ向けて放たれる赤外線を検出し、金星表面の地質を調べたりもします。
また、ESAも2030年代初頭に開始予定の「EnVision」と呼ばれる金星探査計画を発表しました。
EnVisionでも金星を周回する探査機を打ち上げ、レーダーによって金星の核から大気までの構造を調査することで、なぜ金星はここまで地球と異なる環境に至ったのかという謎の解明を目指します。
金星はこれから大いに理解が進むと期待されている天体です。
私たちが想像もしないような意外な姿が解明されるかもしれませんね。
本当に楽しみです!