「英女王の国葬、市民の税金から」米有力紙が問題提起、SNSでヒートアップ。国葬費についての意見
今月27日に予定されている安倍元首相の国葬。その費用が総額16億円以上になる見通しが示され、国民のさまざまな意見が上がっている。
国葬費用についての関心は、日本だけではない。
アメリカでは9月14日付の米ニューヨークタイムズが、The queen’s funeral will be paid for by British taxpayers.(女王の国葬は英国の納税者によって支払われる)という記事を発表し、物議を醸している。
今月19日にイギリス・ロンドンで予定されているエリザベス女王の国葬とその費用について、詳細はまだ英国政府から発表されておらず「いずれ公表される」とし、国(税金)による負担で「かなりの高額になるだろう」と、同紙は予想している。
過去の例を見ていくと、国葬ではなかったが、エリザベス女王の母にあたるエリザベス王太后(エリザベス・ボーズ-ライアン)の葬儀(2002年)の費用は、弔問用の公開安置に82万5000ポンド(95万4000ドル、日本円で1億3600万円相当)、セキュリティに430万ポンド(500万ドル、日本円で7億円相当)などがかかったと言われている。
英国で急激に進むインフレの上昇率を加味したとしても、今回のエリザベス女王の国葬費用は、エリザベス王太后の葬儀や、前回の国葬であるウィンストン・チャーチル元首相の葬儀(1965年)を上回るものになるだろうと同紙。
インフレに加え、今年後半から長い景気後退が始まるだろうと予想される中、英国民にとっての大きな問題は、「一般市民は32万5000ポンド(5300万円相当)を超える相続に対し40%の相続税を支払う義務があるのに、王室メンバーは相続税徴収の対象とならず、王室の財政は透明性に欠ける」とし、不公平について辛辣に問題提起をし、国民感情を憂慮した。
一方で「葬儀は葬儀。しかも女王のためのもの(景気問題とは別)」とする欧州政治および外交問題が専門の大学教授の声も取り上げている。また女王の国葬には、アメリカのバイデン大統領をはじめ、世界中の要人が参列することから「最大の外交機会になる」とも述べた。この辺は、安倍元首相の国葬における弔問外交の意義を示した岸田政権や日本の一部の専門家と同意見のようだ。
この記事に対して、ソーシャルメディアでは大きな反響が沸き起こっている。ツイッターでは現在、いいねは1万2000、コメントは6800を超えている。
多額の国葬費用について:
擁護派
反発派
そのほか
国葬費を問題提起したNYTやアメリカへの意見
このように、税金による国葬費用の負担について問題ないとする意見から、問題提訴をした記事に嫌悪感を示す意見までさまざまで、人々はヒートアップしている。国葬費については、日本のみならず、イギリス、さらには君主制とは程遠いアメリカでさえ、このように議論が大きく分かれているようだ。
(Text by Kasumi Abe)無断転載禁止