北関東に逆転した言い伝えのヘビ神伝説の温泉があるって知ってる?
温泉ライターの泉よしかです。
令和7年(2025年)が開けました。今年の干支はヘビです。各地の温泉の開湯伝説にはさまざまなものがありますが、今回は北関東のヘビ神様にまつわる温泉を紹介します。干支ゆかりのスポットとして覚えておいても損はありません。
追われた大蛇の神が温泉を湧かせた「老神温泉」
ヘビ神様にまつわる温泉とは、群馬県沼田市の老神(おいがみ)温泉。
その昔、群馬県の赤城山の神様と栃木県の日光男体山の神様が争い、その時に戦場となった場所が戦場ヶ原、劣勢で敗走した赤城山の神様が落ち延びたのが老神温泉といわれています。
老神の名前の由来は、追い神。負けて追われたから、あるいはこの温泉で力を取り戻し追い払ったからとも言われていますが、その神様たち自身、あるいは神様たちの僕がヘビとムカデなのです。
どちらがヘビでどちらがムカデかというと、これがまた不思議なことに、一般的に流通している昔ばなしでは、日光の神様がヘビを使役し、赤城の神様がムカデを使役したと伝わっているのですが、何故か当の老神温泉での言い伝えでは逆転して、日光が大ムカデ、赤城が大蛇とされています。(参考 老神温泉観光協会・老神温泉旅館組合公式サイト(外部リンク))
共通しているのはいずれも勝利した側がヘビ神だったということ。そして老神温泉のお湯は赤城の神様の傷を癒したという点です。すなわち、多数派として伝わる昔話では、勝利したのは日光男体山側ですが、老神温泉では勝利したのは赤城山だったとされているのです。
老神温泉ってどんなところ?
老神温泉は片品川に沿って10軒強の旅館が点在する温泉地で、例年5月には大蛇のみこしをかつぐ老神温泉大蛇まつりが行われます。
温泉は単純泉、単純硫黄泉などの泉質で、源泉掛け流しの宿も多く、風情ある露天風呂があることも。
意外と沼田市の町中からのアクセスも良く、景勝地の吹割の滝(ただし冬季は閉鎖)も近い。なのに比較的空いていて穴場の雰囲気を擁しています。
ぎょうざの満州という餃子チェーン店が運営している「東明館」という変わり種の旅館もあります。
赤城の神様の本拠地にもいい温泉がある
老神温泉は赤城山の北側に位置しますが、もっと赤城山に近い南麓にも赤城温泉郷としていい温泉がいくつか湧いています。
赤城温泉には「にごり湯の宿 赤城温泉ホテル」や「御宿 総本家」という宿があり、掛け流しの濁り湯に入ることができます。
また滝沢温泉の一軒宿「滝沢館」では、シュワシュワの泡付きが楽しめる非加熱源泉風呂が露天にあります(冬は冷たいので入るのがちょっと辛いですが)。
日光男体山の神様の本拠地にもいい温泉がある
老神温泉のお湯を湧かせた赤城山の神様にとっては宿敵ですが、日光男体山の近くにもいい温泉があります。それは奥日光湯元温泉。
硫化水素型の硫黄泉が湧く奥日光湯元温泉では乳白色の濁り湯に入れます。露天風呂のあるお宿なら冬は雪見風呂も期待できます。一見刺激が強そうに見えますが、中性に近いpHなので、肌がピリピリすることもありません。
その他にも群馬県にはヘビゆかりの温泉が
老神温泉、赤城温泉郷の他にも、群馬県にはヘビにゆかりのある温泉があるので最後に簡単にご紹介しましょう。
藪塚温泉
温泉の由来と関係があるわけではありませんが、藪塚温泉にはジャパン・スネークセンター(ヘビを専門的に展示する動物園)があります。
根古屋城温泉
ヘビがよく集まる場所があったので、もしかして温かいのではと掘ってみたらお湯が湧いた温泉です。
今年は12年に一度の巳年です。ヘビ所縁の温泉にお出かけしてみるのも意外と面白いのではないでしょうか。
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