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【その後の鎌倉殿の13人】女性を拉致した武士に与えられた恥ずかしい刑罰とは?

濱田浩一郎歴史家・作家

鎌倉幕府の執権・北条泰時の時代に制定された御成敗式目(1232年制定)には「密懐」(不倫)の罪についての規定(第34条)もあります。それによると、強姦か和姦(男女の合意の上での姦通)かにかかわらず、人妻を抱いた者は、所領の半分を召し上げ、幕府への出仕を止めさせるとあります。また、所領を持たない者は「遠流」にすると記しています。では、不倫した女性はどうなるのでしょうか。式目には、女の所領も召し上げるとあります。そして、所領がない場合は「配流」に処すと書かれているのです。不倫した男性も女性も、御成敗式目によると同罪になったのでした。同条の後半には「辻捕」についての規定が見えます。辻捕とは、道路で女性を捕えることです。辻捕を行った御家人は百日間の出仕停止とすると式目にはあります。御家人の郎従(家臣)が辻捕という犯罪行為をした場合は、源頼朝時代の「例」に従い、片方の鬢髪を削ぎ落とすと規定されています。「法師」(出家者)が辻捕をしたら「斟酌」すると決められています。出仕停止や頭髪を片方剃るという刑罰は、犯罪の性質からすれば軽いようにも思えます。しかし、当時の武士にしてみたら屈辱的なものであり、それなりに抑止力になったようにも感じられます。鎌倉幕府が御成敗式目の中で辻捕についての規定を設けた背景には、鎌倉において、武士による性犯罪が多数起こっていたことがあるでしょう。

歴史家・作家

1983年生まれ、兵庫県相生市出身。皇學館大学文学部卒業、皇學館大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。兵庫県立大学内播磨学研究所研究員、姫路日ノ本短期大学講師、姫路獨協大学講師を歴任。『播磨赤松一族』(KADOKAWA)、『北条義時』『仇討ちはいかに禁止されたか?』(星海社)、『家康クライシスー天下人の危機回避術ー』(ワニブックス)ほか著書多数

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