地球にブラックホールが生成される可能性があった実験 極小ブラックホールが巨大化したら何が起こる?
2008年、ヨーロッパで小さな粒子同士を衝突させる実験が開始されました。しかし、粒子の生成時にブラックホールが生成され、地球が飲み込まれる懸念が発生し、世間を騒がせる事態となりました。
本記事ではその実験の結末と、もし人間がブラックホールに吸い込まれたら何が起こるかについて解説していきます。
■ブラックホールとは一体どんな天体?
まず、ブラックホールとは一体どんなものかというと、その名の通り、黒い穴、という意味になります。宇宙に穴が空いているの?と思う方もいると思いますが、実はブラックホールも一つの天体なのです。その重力が大きすぎて、そこから光でさえも逃げだしてくることができず真っ黒なため、ブラックホールと名付けられました。
■ブラックホール生成実験で地球が消滅する危険性がある?
スイスとフランスの国境に建設された大型加速器「CERN(セルン)」では、直径27kmに及ぼトンネルの中で、粒子同士を衝突させるという実験が行われました。その目的は、宇宙が誕生した瞬間の状態を再現することで、宇宙に満たされている謎の物質「ダークマター」の正体を解き明かすことです。
しかし、この実験を行うと、粒子の衝突時にマイクロブラックホールが生成される懸念があり、大きな騒ぎとなったのです。生成されたブラックホールは地球を徐々に飲み込み、最終的にはゴルフボール程度の大きさで地球と同じ質量のブラックホールが代わりに居座ることになるとの声が上がりました。そして、ブラックホールは地球を飲み込みながら徐々に中心へ移動し、ゆっくりと時間をかけ最後には地球は完全にブラックホールと化してしまうのです。
このような懸念の声から、遂に実験を差し止めるための裁判まで行われたほどです。しかしご安心ください。小さなブラックホールが生成されたとしても、すぐに蒸発してしまうため危険性は無いと判断されました。
その後、実験は予定通り実施されることとなります。そして、懸念されていたブラックホールは発生することなく無事に完了します。2012年には、存在が仮説として提唱されていた「ヒッグス粒子」の発見に成功するという偉業を達成したのです。
■人間がブラックホールに吸い込まれたら何が起こる?
それでは、もしブラックホールが意図せず生成されてしまった場合、私たち人間には一体何が起こるのでしょうか?
ブラックホールはその強大すぎる重力から、天体をまるでスパゲティのように細長く引きちぎって吸い込む性質があります。これをスパゲティ化現象、もしくはヌードル効果と呼びます。天体が崩壊して飲み込まれる際には、大きな爆発と強力な電磁放射が発生するはずですが、ブラックホールはその光さえも飲み込んでしまうため、はっきり観測することは非常に難しいのです。
もし人間がブラックホールに足から落ちると、頭より足にかかる重力がはるかに大きくなります。そして側面からは押しつぶす力を受け、体の右半分は左に、左半分は右に引っ張られ、まるでカルボナーラに生まれ変わったかのような感覚に陥ることでしょう。しかしその直後、ブラックホールの深淵に吸い込まれるのですが、一体どのような体験をするのかははっきりわかっていません。
いつか本当に地球にブラックホールができてしまったらと思うと、想像を絶する体験をすることになりそうですね。皆さんは生き残れる自信はありますか?
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