超巨大ブラックホールが天の川銀河の中心に存在?遂に撮影に成功、世界発の快挙を達成
2022年、日本の国立天文台を含む国際研究チームが、天の川銀河の中心に存在すると考えられているブラックホールを世界で初めて画像に捉えることに成功しました。
本記事では、果たしてブラックホールが画像として捉えられるまでを詳しく解説していきます。
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■日本のブラックホール観測の歴史
2011年、国立天文台とJAXAは、世界で初めてブラックホールの位置を特定することに成功しています。地球から約5440万光年彼方にあるおとめ座A銀河に潜む超巨大ブラックホールの位置を、電波観測により特定しています。
そして同じく2011年、JAXAは国際宇宙ステーションの全天X線監視装置を使い、地球から39億光年離れた銀河の中心にある巨大ブラックホールに星が吸い込まれる瞬間の観測に、世界で初めての成功しました。
■2019年にはブラックホールの存在と影の撮影に成功
世界中の電波望遠鏡を結合することで、圧倒的な感度と解像度を持つ地球サイズの仮想的な望遠鏡を作り上げる「イベントホライズンテレスコープ」というプロジェクトが、2006年より開始されています。このプロジェクトには国立天文台も参加しており、現在は80の機関、300名以上の研究者が参加しています。
そして2019年、イベントホライズンテレスコープが記者会見を行いました。その内容はなんと「ブラックホールの存在とその影を撮影することに世界で初めて成功した」というものだったのです。
そして、M87中心の巨大ブラックホールの撮影画像が、人類史上初めて公開されました。ブラックホールの存在により、その周辺の時空間がゆがみ、周囲の物質は激しく加熱されます。すなわち、明るく輝くガスにより、ブラックホールが『影』のように暗く見える「ブラックホールシャドウ」が観測できたのです。この観測により、巨大ブラックホールの存在が確認された。ブラックホールシャドウのサイズは1000億kmと見積もられています。この撮影には、アルマ天文台を中核とする世界の望遠鏡7台が使われています。
日本の貢献も大きく、まず、最高の性能を持つアルマ望遠鏡を含めた2つの望遠鏡の建設や運用に携わっています。また、データを画像に復元する手法は、マサチューセッツ工科大学の日本人のチームによって開発されたものです。
■2022年、天の川銀河中心のブラックホールの撮影にも成功
2022年5月12日、イベントホライズンテレスコープは日本を含む世界の7拠点にて重大発表を行いました。その内容は、遂に天の川銀河の中心にある巨大ブラックホールの撮影に成功しました。今までも、天の川銀河の中心領域において、非常に重く、コンパクトで目に見えない何らかの天体の周りを星たちが回っていることが観測されていました。そして今回の成功により、中心にブラックホールが存在することを示す、初めての視覚的かつ直接的な証拠が得られました。
このブラックホールは、いて座Aスターと呼ばれています。発表によると、太陽の400万倍の質量を持つこのブラックホールは、約2万7000光年の距離に位置しており、地球からの見かけの大きさは直径8cm程度しかないということです。月の上のドーナツほどの大きさの天体に対して、世界中の望遠鏡を使い観測に成功するとは、本当に快挙ですね。スーパーコンピュータを駆使し、5年にわたり緻密に解析を行ったとのことでした。
今までの、M87、いて座Aスター、の観測の成功により、多くの銀河の中心に存在すると考えられている巨大ブラックホールの働きについて貴重な手がかりを得ることができました。観測ネットワークや観測技術は今も大きく発展し続けており、さらに素晴らしい画像やブラックホールの動画を近い将来公開できるとのことです。アインシュタインの一般相対性理論に代わる重力理論の検証も可能になるかもしれません。楽しみですね。
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