2024年、福袋はどうなる?
私は、サプライチェーンや調達・物流関係のコンサルティングに従業しています。この時期に気になるのは、年始の福袋でしょう。
・2024年の福袋のトレンド
続々と、各百貨店から福袋のラインナップが発表されています。個別に見ていく前に、概要を述べれば、「節約をサポートしながら、新しい体験(経験)商品の提案」となります。
コロナ禍からの回復と、しかしながら、いまだに賃金があがらない状況の板挟みのように思えます。
つまり、消費者はまだお金がそんなにない、だけど、節約だけではなく経験にも消費させたい、というジレンマです。
・2024年の福袋の実例
・松屋銀座は、一流の文化体験として、銀座で着物(大島紬)を着て、新橋演舞場で鑑賞する福袋を発表しました。料亭の限定弁当を楽しめます。
・また、松屋銀座では、「日本酒とワインの二刀流44本福袋」です。これはもちろん大谷翔平さんをモチーフにしたものです。
・さらに肉グルメを体験できる福袋もあります。
・高島屋は、なんと「ムービングサウナ」の販売です(これはもはや福袋でしょうか?)。
・また高島屋が提供するのは漫画家に似顔絵を書いてくれる福袋です(これももはや福袋でしょうか・笑)。
・東武百貨店では、サブスクリプションの福袋です。貴金属やアート商品を提供するものです。
・そして東武百貨店は食品のサブスクリプションも充実させ、フルーツ等の定期配送も提供します。
・そごう・西武が提供するのは、西武鉄道の福袋として駅長体験が可能な福袋です。
・なお、そごう・西武は、一ヶ月、毎日ずっと占いを受けられる福袋も販売するのですが、すごいですね。これは福袋の概念を超えている(笑)。
その他、各社はさまざまなアイディアをこらして福袋を開発しています。ちょっと百貨店まで商品=福袋を眺めに行くのも楽しいでしょうね。地域の企業と共創した福袋もたくさんあります。
・その他、2024年の福袋の傾向
百貨店の目立つ福袋を紹介しました。その他、さまざまな小売店を見ると、2024年の福袋は次のような傾向です。
・ひさびさに親類と過ごす”きずな”消費、コト消費
・ハレ消費(ちょっと高いものを買いたい)
・SDGsなど社会的課題をも解決するような体験型消費(自然保護につながる商品の提案)
・暗い時代に”楽しさ”を提案するエンタメ消費
これらトレンドがあります。
・福袋の歴史的変遷
また、令和の福袋の歴史的な位置づけも見ておきましょう。まずキャッチフレーズ的に申せば、トレンドは次のとおりです。
・昭和:お買い得(量と金額で差別化)
・平成:驚き(質と種類で差別化)
・令和:体験(非日常で差別化)
といえます。
昭和時代:お買い得
昭和時代は、消費者は物量を重視しました。福袋はお得な価格で多くの商品を提供することで、消費者にとって魅力的な購買機会となりました。この時代の福袋は、量と金額のバランスを重視し、購買意欲を刺激するために価格に対する価値を提供しました。
平成時代:驚き
平成時代は、消費者は質やブランドに焦点を当てるようになりました。福袋は質の高い商品やブランド商品を提供することで、消費者に驚きや満足感を提供しました。また、福袋の中には限定商品や新商品を含めることで、関心を引きつけました。
令和時代:体験
令和では、消費者の価値観はさらに多様化し、体験や非日常を求める傾向が強まりました。商品だけでなく、非日常的な体験やサービスを提供し差別化を図り、消費者に新しい価値を提供するしかなくなりました。今回、資料にあった各店舗の経験系商品、くわえて、レストランのディナー券や旅行券、ワークショップの参加券など、体験を提供しています。
さあ、コロナ禍からの景気回復を目指すためにも、百貨店やらの小売店に行ってみませんか? そして小売商品のトレンドを調べてみましょう。きっと楽しいですから。