Yahoo!ニュース

旧盆台風9号 複雑な動きに注意

崎濱綾子気象解説者/気象予報士/防災士/ウェザーマップ
台風進路図(ウェザーマップ)

台風9号発生 複雑な動きに

 台風9号は、8月24日(木)午後3時に沖縄の南で発生しました。24日(木)午後6時現在、台風9号は、沖縄の南海上をゆっくりとした速さで北西へ進んでいます。中心気圧は1002hPa、中心付近の最大風速は18メートル、最大瞬間風速は25メートルで暴風域は伴っていません。

 台風は今後発達しながら、25日(金)にかけてほとんど停滞し、26日(土)には暴風域を伴いながら、27日(日)にかけて南よりに進む見込みです。

 ただ、28日(月)以降フィリピンの東海上から北上する見込みで、沖縄地方への影響が心配されます。

なぜ複雑な動きをするのか

太平洋高気圧の予想(ウェザーマップ)
太平洋高気圧の予想(ウェザーマップ)

 沖縄に影響する台風は、偏東風や夏の高気圧の太平洋高気圧の張り出し具合などによって、大きく左右されます。30日(水)頃までは、台風の行く手をふさぐ形で沖縄地方の北に太平洋高気圧が張り出し、台風の動きが複雑になる要因として挙げられます。

8月台風

 8月の台風の発生数の平年値は5.7個、そのうち沖縄地方への8月の台風接近数の平年値は2.2個となっており、発生数、接近数共に年間で最も多い月となっています。(1991年から2020年の平年値)今回の台風9号は、統計上は発生は8月、もし9月に接近すると、統計上は9月の接近数に入ることになります。

沖縄の旧盆

 沖縄のお盆は旧暦で行われ、旧暦の7月13日〜15日がお盆期間。今年は新暦の8月28日から30日にあたります。沖縄方言で、お盆初日はウンケー(お迎え)、2日目は、ナカヌヒー(中日)、最終日はウークイ(お送り)と表現します。

旧盆に台風が多いのは

 旧盆と台風の関係をみていきますと、旧盆期間は年によっても違うものの、大気の大きな流れの場としましては、太平洋高気圧の影響を受ける時期と重なるため、旧盆の時期は台風や熱帯低気圧の動きに警戒が必要となります。

過去の旧盆台風

 2022年の旧盆は台風による大きな影響はなかったものの、2021年の台風12号は、(お盆期間は新暦の8月20日、21、22日)8月22日に宮古島地方に最も接近しました。沖縄本島地方、宮古島地方、八重山地方で、大雨、強風、波浪の影響を受けました。

 2020年の台風9号は、(お盆期間は新暦の8月31日、9月1日、9月2日)、9月1日の未明から明け方にかけて沖縄本島地方に最も接近しました。渡嘉敷では8月31日午後11時38分に43.5メートル(東の風)の日最大瞬間風速を観測し、当時は8月としての極値を更新しました。(※今年の2023年は台風6号の影響で、8月2日午後0時46分に50.4メートル(南東の風)の日最大瞬間風速を更新しています)

 また、久米島の北原では9月1日に日最大風速40.7メートル(南東の風)、日最大瞬間風速54.5メートル(南東の風)を観測しました。沖縄本島地方、宮古島地方、石垣島地方で、大雨、強風、波浪の影響を受けました。

旧盆の準備は早めに

 今月22日は旧暦の7月7日の七夕でした。この日は沖縄では各地でお墓掃除をして、旧盆の準備をします。沖縄では昔から”暦で動く”のですが、台風の動向によっては、お供え物の準備や親戚まわりなどの予定を早められるものがありましたら、変更を検討するなどの対応も必要かもしれません。今後の台風の動きにご注意下さい。

参考 気象庁、沖縄気象台資料より

ーーー

関連記事

旧盆台風12号 沖縄では吹き返しの雨風に警戒を

今年も旧盆に台風 沖縄では早めの備えを

今年も沖縄は旧盆台風 非常に強い勢力で接近のおそれ

旧盆初日のウンケー 台風の強風域に 沖縄

気象解説者/気象予報士/防災士/ウェザーマップ

Yahoo!ニュースエキスパート。沖縄生まれ沖縄育ち。お天気キャスター中に本格的に気象予報士資格を取得したいと思い、2005年に沖縄初の女性気象予報士になる。TBS系列『RBC THE NEWS』(月~金)に2016年3月まで出演し上京。日々の番組内での天気解説や報道取材を通して見えてきたもの、天気の移り変わりを綴る。沖縄の観光大使「ミスはごろも」として沖縄観光PR活動も1年間経験。夢は沖縄の天気に関する本を出すこと。趣味は御朱印集めなど。

崎濱綾子の最近の記事