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金銭トレードでエンジェルスからカブスへ移籍した捕手は、出場機会を得ることができるのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
マット・タイス Jul 30, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 11月20日、シカゴ・カブスは、金銭と交換に、捕手のマット・タイスをロサンゼルス・エンジェルスから獲得した。このトレードの前に、エンジェルスは、捕手のトラビス・ダーノーと契約を交わし、タイスをDFAとした。

 タイスは、来年5月に30歳の誕生日を迎える。2016年のドラフトでエンジェルスから全体16位指名を受け、2019年の夏にメジャーデビューした。

 ここ2シーズンの打撃スタッツは、2023年が95試合で打率.214と出塁率.319、9本塁打、OPS.659、2024年は57試合で打率.204と出塁率.323、2本塁打、OPS.622だ。四球率は11.7%と15.1%。その前の4シーズンも、10%を超えていた。過去には、一塁と三塁も守り、2020年には、二塁手とレフトとしても、1試合ずつ出場した。

 2024年のカブスでは、4人がマスクをかぶった。スタメンマスクは、ミゲル・アマイヤが103試合、ヤン・ゴームズが27試合、クリスチャン・ベサンコートが17試合、トマス・ニドは15試合だ。アマイヤを除く3人は、すでにカブスにはいない。

 アマイヤは、メジャーリーグ2年目を終えたところだ。年齢も、来年3月で26歳と若い。カブスには、プロスペクトの捕手、モイゼス・バイエステロスがいるが、こちらはさらに若く、今月、21歳になったばかりだ。

 経験という点からすると、捕手の2人は、アマイヤとバイエステロスよりも、アマイヤとタイスのほうが順当だろう。タイスは、2024年に、41試合でスタメンマスクをかぶった。2025年に、アマイヤとタイスのスタメンマスクが9試合ずつ増えれば、トータルは162試合となる。

 ちなみに、どちらの2人でも、右打者と左打者だ。2024年に、アマイヤは、117試合で打率.232と出塁率.288(四球率6.3%)、8本塁打、OPS.644。バイエステロスは、AAとAAAの計124試合で打率.289と出塁率.354(四球率8.9%)、19本塁打、OPS.826を記録した。

 ただ、FAのなかには、経験も実績も、タイスを凌ぐ捕手がいる。例えば、来シーズンの年齢(6月30日時点)が35歳の2人、カイル・ヒガシオカジェームズ・マッキャンがそうだ。彼らとは限らないものの、カブスは、ベテランの捕手を手に入れられなかった場合の「保険」として、タイスを獲得したのかもしれない。

 2024年の開幕から6月下旬まで、カブスの捕手は、アマイヤとゴームズの2人だった。ゴームズは、2024年がメジャーリーグ13年目。2012~23年のスタメンマスクは、900試合以上を数えた。

 なお、エンジェルスは、若手の捕手とベテランの捕手を擁し、来シーズンに臨む。ローガン・オホッピーとダーノーは、来シーズンがメジャーリーグ4年目と13年目。彼らの誕生日は2月9日と10日なので、2025年のシーズン年齢は25歳と36歳だ。

 ダーノーのエンジェルス入団については、こちらで書いた。

「エンジェルスはベテラン捕手を2年1200万ドルで迎え入れる。正捕手のオホッピーがいるのに必要!?」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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