エコなイベントづくり、植物性ミルク・ゴミ分別・EV 北欧ノルウェーの事例
北欧ノルウェーの首都オスロで、気候危機の原因となる二酸化炭素などの排出量ゼロを目指すための会議「ゼロ・カンファレンス」が開催された。
王室関係者、首相や閣僚、環境団体、企業などが集まり、互いの目標や対策を発表しあい、人脈を広げ、インスピレーションを与え合う場所だ。
このような催しでは、会場中でサステイナブルな工夫を見ることもできる。
ゴミの分別は6種類
ゴミの袋は6種類あり、以下に分けられる。
- 食べ物
- 紙
- いろいろと混ざったゴミ
- ガラスとメタル
- プラスチック
- パント(デポジット式の飲料水容器。後でお金が返却される)
「食べ物」のゴミ袋には、たくさんの紙コップなどが入っている。実はこれは、来場者が間違えて捨てているのではない。会場で使用されている食器の多くが、生分解性プラスチック、堆肥化(コンポスト化)が可能なのだ。
食べ物用のゴミ箱が、紙とフォークだらけになる理由
コップやフォークには「完全に」・「100%」生分解性・コンポスト化可能と表記されていることが大事だ(50%しか自然分解できなければ、ゴミ処理で問題が発生)。
工場現場の機械や郵便局の配送車は、電気で動く
電気自動車EVの先進国として有名なノルウェー。会場には、EVがもちろん展示されている。
車だけではなく、公共機関の乗り物や自治体が管理する工事現場の建設機械なども、どんどん電動化されている。
世界初の排出量ゼロの工事現場
オスロのOlav V通りは、世界初の排出量ゼロの工事現場とされている。歩道を作る工事は、来年終わる予定。
会場の飲み物に、牛乳はない
私は普段から環境や気候に関するイベント会場によく行くが、スウェーデン、デンマーク、フィンランドでも、「牛のミルク」は見かけなくなってきている。
家畜によるメタン排出量が原因で、気候変動対策のためには、食生活の見直しが問われる。
肉を食べる量を減らすだけではなく、牛乳から植物性ミルクへの転換が、北欧では目に見えるスピードで起きている。
プラスチックの食器はもちろんない
コーヒーの残りかすは再利用
北欧はコーヒーの消費量がトップだ。会場では、誰もが何杯ものコーヒーを飲む。たくさんの「かす」は、食用キノコの肥料などに再利用される。
SDGs達成のヒントは日常生活に
SDGsのロゴは、今はどこでも見るものとなった。
目標 6「すべての人々に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保する」
目標 11「都市と人間の居住地を包摂的、安全、レジリエントかつ持続可能にする」
など、ゼロ会議が特に目指す目標が、分かりやすく展示されている。
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イベント会場のデザイン設計で、人の思考に影響を与えることは可能だ。
会場環境のこだわりは、主催者やイベント自体の「価値観」を反映する。
私はこのような取材場所で、ゴミ分別や配布資料、会場設計、提供される飲食物などから、「こういうことも、できるんだ」と、わくわくする刺激をもらうことが多い。
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Photo&Text: Asaki Abumi