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BE:FIRSTはツイッター経由で、世界への扉を開くことができるか

徳力基彦noteプロデューサー/ブロガー
(出典:BE:FIRST公式ツイッター)

BE:FIRSTの新曲「Bye-Good-Bye」が、3月7日に公開されてから次々と記録を打ち立てて注目されているようです。

CDシングルとしての公開は5月18日になるようですが、3月7日にデジタル上で先行配信が開始されると、iTunesやLINE MUSIC、AWA、Amazonデジタルミュージックなど、音楽配信系サービスのランキングで軒並み1位を獲得。

さらにビルボードジャパンの集計では、ストリーミングで13,547,052再生を記録した他、ダウンロード、Twitter、動画再生、ラジオと、チャートインした指標全てで1位を獲得し、計5冠で総合首位を獲得していた模様です。

参考:BE:FIRST「Bye-Good-Bye」ストリーミング今年最高値達成、計5冠で初登場総合首位

さらに公開から2週間経たずに、YouTubeの動画は再生数1000万回を突破。ファンの喜びのツイートの結果、今度は関連のツイートが複数トレンド入りして、しばらくは世界のトレンドのトップ5入りもしていたようです。

参考:BE:FIRST「Bye-Good-Bye」MV1000万再生突破でトレンド入りの反響「すごい快挙」「公開されたばかりなのに」

こうなってくると、今後注目されるのは、BE:FIRSTが海外にファン層を広げることができるかどうかでしょう。

最初から世界で活躍するグループを明言

BE:FIRSTは、SKY-HIこと日高さんが代表取締役CEOをつとめる株式会社BMSGが実施したオーディション企画「THE FIRST」から生まれたボーイズグループ。

「THE FIRST」では、冒頭から日高さんが日本の音楽業界の現状に問題提起を行い、「世界で活躍するボーイズグループを作りたい」とはっきりと明言されています。

その後のBE:FIRSTの躍進は皆さんもご存じの通りですが、やはり印象的なのはBE:FIRSTとBMSGが、日高さんの当初の発言を有言実行し、従来の日本の音楽レーベルやアーティストが避けてきたような新しいアプローチを次々と取り入れている点でしょう。

特に、象徴的なのが、BE:FIRST のファンである「BESTY」に、積極的なアーティスト写真や動画のSNSへの応援投稿を促していること。

従来の日本のタレント事務所や音楽レーベルが、肖像権や著作権保護の観点からファンによるSNSへの画像投稿を厳しく禁止していたのと対極のアプローチを取っているのです。

参考:BE:FIRSTは日本の音楽業界のSNS活用に革命を起こすかもしれない

今回の「Bye-Good-Bye」に関連するツイートのトレンド入りでも象徴的ですが、ファンによるSNS上の投稿には当然のようにBE:FIRSTのメンバーの写真や動画がたくさん並んでいるのが非常に印象的です。

世界のツイッター投稿数でも1位に

こうしたBE:FIRSTとBESTYのSNS積極活用の姿勢が、結果として明確に出ているのが、世界のツイッター投稿を元に運営されているBillboardの「Hot Trending Songs」というランキングの結果です。

「Hot Trending Songs」は、昨年10月から米国のBillboardがTwitter協力の下に開始した新しいランキングで、世界中の曲を対象にツイッター上で話題になっている曲のランキングを24時間と週単位で更新し続けているもの。

BE:FIRSTは、昨年11月の1st Singleの「Gifted.」公開時に、このランキングで日本勢として初の快挙と言える24時間ランキングでの1位を獲得して話題になりました。

参考:BE:FIRST、デビュー曲「Gifted.」が米ビルボード “Hot Trending Songs” で世界1位に

しかも、実は「Gifted.」は、その後も18週連続で現在までチャートインし続けており、今回2nd Singleの「Bye-Good-Bye」もトップ10入り。

(出典:Billboard Hot Trending Songs )
(出典:Billboard Hot Trending Songs )

なんと世界の「Hot Trending Songs」のトップ10に、BE:FIRSTの楽曲がダブルでランク入りしているという状態になっているのです。

もちろんこれは、日本が世界的にもツイッターユーザーが多い国だからこその結果ということも言えるかもしれません。

ただ、現在のところ日本の他のアーティストはトップ10にはランクインできておらず、トップ10の半分を占めているのがBTSとそのメンバーの楽曲であることを考えると、BE:FIRSTは、世界を席巻するBTSと少なくともツイッターのランキング上は良い勝負をできているということも言えると思います。

米国のビルボードのシングルチャートでBTSが1位を獲得した背景に、BTSのファンであるARMYの影響力があったことは有名な話だと思います。

参考:BTSの音楽は米国の「壁」を乗り越えた 注目のグラミー賞ノミネートは?

デビューから18週もの間、BTSと並んでBE:FIRSTがこの「Hot Trending Songs」のトップ10を維持していると言うことは、BE:FIRSTのファンであるBESTYが、ツイッター上でARMYに近い熱量を維持していると言えるのかもしれません。

ネット経由で楽曲が国境を越える時代

もちろん、現時点ではBE:FIRSTのツイートは日本のものがほとんどのようですし、本丸である米国のビルボードのシングルチャートにランクインしたわけではないようですので、「BE:FIRSTが世界でも成功した」というにはまだ少し早いというのが正確な状況です。

今後注目されるのは、こうしたツイッター上での露出やBillboardのランキング経由で、海外にも本格的にBE:FIRSTの人気が拡がっていくかどうかになります。

従来であれば日本のアーティストは、ある程度日本で成功してから満を持して海外展開に挑戦するのが一般的でしたが、もはや現在はデジタル経由で音楽が国境を越える時代です。

BE:FIRSTがこの勢いで、一気に海外にファンを拡げる可能性も当然あります。

例えば、YOASOBIは、早期から英語版の楽曲を公開。

すでに昨年Spotifyで、2021年海外で最も再生された日本のアーティストランキングの1位を獲得することに成功しています。

参考:YOASOBI、Spotifyの“2021年海外で最も再生された日本のアーティスト”ランキングで1位を獲得

YouTube上の英語版の楽曲も、数百万再生の動画が増えてきていますし、英語版をきっかけに興味をもった海外のファンが、日本の楽曲も聞くようになるというサイクルも生まれているようです。

BTSも世界での大ブレイクのきっかけとなったのは、初の英語曲「Dynamite」がポイントになりました。

BE:FIRSTも英語での楽曲を発表するタイミングが、本格的に「世界で活躍するボーイズグループ」と言えるポイントになるのかもしれません。

何といっても日本はツイッターの利用者が多い国ですから、日本のアーティストがツイッター経由で世界に拡がる成功事例を作ることができれば、他のアーティストも参考にしやすいと言えるでしょう。

「パラサイト 半地下の家族」のアカデミー受賞や「イカゲーム」の大ヒットで注目される韓国の映画やドラマに対して、一時期は悲観的になっていた日本の映像業界ですが、日本の映画である「ドライブ・マイ・カー」がアカデミー賞にノミネートされたことで、日本の映像が世界でも評価されることが証明されました。

BE:FIRSTのような新しいアーティストとファンの活動が、日本の音楽業界にとっての世界の扉も開いてくれるのを楽しみにしたいと思います。

noteプロデューサー/ブロガー

Yahoo!ニュースでは、日本の「エンタメ」の未来や世界展開を応援すべく、エンタメのデジタルやSNS活用、推し活の進化を感じるニュースを紹介。 普段はnoteで、ビジネスパーソンや企業におけるnoteやSNSの活用についての啓発やサポートを担当。著書に「普通の人のためのSNSの教科書」「デジタルワークスタイル」などがある。

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