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ウクライナ軍、地雷探知機を搭載した「地雷探知ドローン」で地上の地雷検知へ

佐藤仁学術研究員・著述家
(ウクライナ軍提供)

2023年7月にウクライナ軍が小型ドローンに地雷探知機を付けて地上に敷設された地雷を探知しているデンマーク製のドローンの動画が紹介された。地雷探知機がドローンからぶら下がっており、その地雷探知機が地上にある地雷に反応するかどうかを遠隔地にいる兵士がモニターで確認している。

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻してから、ロシア軍は大量の対人地雷、戦車用の地雷をウクライナの最前線に設置している。ロシアは対人地雷の使用、生産、移譲などを禁止しているオタワ条約(対人地雷全面禁止条約)に加盟していない。

多くのウクライナ兵や一般市民が対人地雷や対戦車地雷の犠牲になっている。対人地雷では殺害されることはほとんどないが、手足が吹っ飛んでしまう。また小型のおもちゃのようにも見える対人地雷は子供や一般市民が拾ってしまい、爆発したら手足が吹っ飛んでしまう大けがをすることになる。地雷の他にも不発弾や、迎撃されたが上空で爆発しないで墜落した「爆弾を搭載した神風ドローン」なども地上に散乱しており、それらも何も知らずに踏んだり触ったりしてしまうと爆発する危険性がある。対戦車地雷は戦車や輸送車を撃破することを目的にしているので破壊力も強い。そのため人間が対戦車地雷と知らずに触ってしまったら大爆発して死亡する可能性が高い。

対人地雷の多くは茂みの中や草などに隠して設置されており、人間の兵士が地雷探知機をもって地雷原の中を歩き、地雷を検知したら丁寧に除去している。そのため地雷の探知までに時間がかかり、危険度も高い。「地雷探知ドローン」であれば遠隔地で操作しながら上空からドローンで地雷の探知を行える。人間の兵士が地雷原を歩きながら探索するより効率的である。

今回、紹介されていた地雷探知機を搭載したドローンでは、地上の地雷の検知は行うが、破壊や除去までは行わないようだ。ウクライナ軍ではドローンに手りゅう弾や爆弾を搭載して、地上の地雷にドローンから手りゅう弾などを投下して地雷の除去も行っている。また諸外国から提供されたり、自ら開発したりした地雷除去車で除去も行っているが、地雷除去車は足りていないので、ほとんどが人間の兵士が検知し除去している。

▼地雷探知ドローンの様子

▼地雷探知ドローンによる地雷の検知

(ウクライナ軍提供)
(ウクライナ軍提供)

(ウクライナ軍提供)
(ウクライナ軍提供)

(ウクライナ軍提供)
(ウクライナ軍提供)

▼人間の兵士による地雷の探知

写真:ロイター/アフロ

写真:ロイター/アフロ

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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