ウクライナ紛争で進むロボット兵器・戦場の無人化:ウクライナ軍「上空のドローンの次は地上の無人化」
「SFの世界の話ではなくリアルな戦場の最前線」
2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻してから、ウクライナ軍もロシア軍も兵器の無人化、戦場の無人化に注力してきた。遠隔地からコントロールして攻撃したり、物資を輸送したり、地雷を設置したり、撤去したりしている。
2024年4月にフランスメディアの「FRANCE 24」(英語版)がウクライナ軍による戦場の無人化に関するショート動画の報道を公開していた。タイトルは「How robot vehicles are changing warfare on Ukraine’s frontlines」(ウクライナ軍の最前線でロボットはどのように戦争の在り方を変えたのか)である。
動画の中で無人の小型ロボットがロシア軍の陣地に対人地雷を敷設したり、爆弾を搭載したロボットがロシア軍の塹壕に突っ込んでいき爆発したり、無人のロボットが物資の運搬や負傷者の救助に使われたりしているという事例が紹介されている。塹壕の中でウクライナ軍の兵士がモニター越しにロボットに搭載されたカメラから映し出された映像を見ながらロボットを操作している貴重なシーンもある。
また報道の中で「これはもはやサイエンスフィクション(SF)の世界の話ではなく、リアルな戦場の最前線で起きていることである」と伝えている。
ウクライナ紛争では多くのリモート操作のロボットタイプの無人車両、銃を搭載した攻撃ロボット、地雷敷設ロボット、物資や負傷した兵士の運搬や監視目的のロボットが利用されており、戦場の無人化が確実に進んでいる。
▼ウクライナ紛争での戦場の無人化が進んでいることを伝えるフランスの報道
ウクライナ軍「無人ロボットは兵士の命を救います」
従来、戦場で人間(軍人)が行っていた「6D業務」(①単調:dull、②汚い:dirty、③危険:dangerous、④人間が入れないところ:distance、⑤深いところ:deep、⑥配送:delivery)の任務の多くは既にロボットが行っている。ウクライナ紛争でも両軍によってロボットが人間の兵士に代わってこれらの業務を遂行している。
従来、人間の兵士が行っていた6D業務がロボットに変わることによって軍人の"人間の安全保障"が守られるようになる。ロボットなので攻撃されて破壊されたら代替のロボットを持ってくれば良い。また地雷を搭載したロボット、地雷敷設ロボット、物資輸送のロボットも戦車や戦闘機などに比べたら安価である。
ウクライナ軍は公式SNSで「戦場における上空のドローンの有効性についてはもはや議論の余地がない。次のステップは地上でも同じような技術を使った戦場の無人化である。地雷を敷設した、地雷を除去したり、負傷者を助けたり、戦闘をしたりするような地上での無人ロボットが戦闘員の生命を救います」と投稿していた。
無人化の技術によって戦場の在り方も大きく変わりつつある。だが、ウクライナ紛争の実際の戦場に既に無人化された兵器やロボットがロシア軍とウクライナ軍によっていくつか導入されているが、ウクライナ紛争の終結は現時点では見えてきていない。
ドローンも無人技術を活用した兵器としてウクライナ紛争では監視用と攻撃用として両軍によって多く活用されている。だが、両軍ともにドローンの活用によって制空権を握れてはいない。
▼ウクライナ軍の公式SNS