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国産備長炭で炊き上げる飴はまるで琥珀!京都「するがや祇園下里」にて明治時代から紡がれるほろ苦い甘露

柳谷ナオ和菓子ソムリエ・ライター

皆さん、飴はお好きですか?これからの季節は特にのど飴が手放せなくなるという方もいらっしゃるかと思いますし、個性もバラエティも豊かなパッケージの飴はとっても身近なお菓子。

しかし、素材や製法を辿れば非常に奥深い世界が広がる飴の世界。その歴史の継承者のひとつといっても過言ではないのが、京都に暖簾を掲げる「するがや祇園下里」さん。1818年創業のお店は、一度はその暖簾を下ろしたものの、よりパワーアップして復活。

箱入りと袋入り二種類のご用意があります
箱入りと袋入り二種類のご用意があります

京都という土地柄もあり、長年愛されてきた銘菓に加え、今までとは異なるベクトルから商品の魅力にフォーカスすることで生まれた商品も仲間入りし、国内外の方問わずより親しみやすさが増したような気が致します。

そして、するがや祇園下里さんでは非常に繊細かつ美麗な飴をお作りになっているのです。今回はするがや祇園下里さんの「祇園豆平糖」をご紹介。

祇園豆平糖
祇園豆平糖

思わず指先でつるりとひと撫でしたくなるような質感
思わず指先でつるりとひと撫でしたくなるような質感

まるで、長い歳月をかけて形成された琥珀のような色彩と滑らか輝きを放つ豆平糖。3代目のご主人が明治初期に考案されたという豆平糖は、その昔、八坂神社の境内にて販売されていた「カンカン飴」という黒飴に豆が閉じ込められたものから着想を得たのだとか。

一本の長さは約11cm〜12cmです
一本の長さは約11cm〜12cmです

驚くべき製法にも注目。

国産の備長炭の炭火にて、秘伝の蜜に上白糖やザラメ糖をあわせたものを加熱していくのですが、そのタイミングがまた一長一短では取得できない職人技。気温、湿度、室温などその時その時により微妙に変化する作業環境でも、粘り気や色づき具合などを見極めなくてはならないのです。

材料はお砂糖と大豆だけ!
材料はお砂糖と大豆だけ!

飴を伸ばす際の筋からは、力強い生命力をも感じられます
飴を伸ばす際の筋からは、力強い生命力をも感じられます

香料などを添加するわけではないため、その時の仕上がりがダイレクトに味わいに影響いたします。完成した飴に炒った大豆を加え、成型できる固さに仕上げたら、清潔なゴザの上で伸ばしていきます。

仲が良さそうに整列した大豆からは、芸術性はもとより愛敬をも醸し出しているような気がするのは私だけでしょうか。

炒り大豆好きな私は、あえて大豆が密集している部分を狙って割ります
炒り大豆好きな私は、あえて大豆が密集している部分を狙って割ります

いわゆるべっこう飴とは異なり、どこまでも口当たり優しくまろやかな飴ですが、きりっとした苦味が心地よい大人味。黒糖の黒飴とはまた異なり、単純な表現ではございますが、プリンのカラメルを更に深くしたようなイメージかと。

こうして持っている傍から、すでに飴が溶けていきます
こうして持っている傍から、すでに飴が溶けていきます

また、糖類が織り成す香ばしさとはまた異なる大豆の薫香もたまりません。ぽりぽりっと軽やかに口の中で爆ぜては、ふっくらとした旨味を残していく炒り大豆と飴の二重奏は病みつきになるかも。

透明度の高さに思わず見入ってしまいます
透明度の高さに思わず見入ってしまいます

また、祇園豆平糖は非常に繊細なお菓子。湿度と熱に滅法弱いため、細長い状態で手にもって食べると人肌でたちまちべとべとに。手で割るか、綿棒などでひとくちサイズに割って召し上がるのがベターかと。

追加で乾燥材をひとつプラスしてもするとより安心です
追加で乾燥材をひとつプラスしてもするとより安心です

また、保存する際はジップロックなどの密封容器に入れて、冷蔵庫にて保管することを推奨いたします。

気温が下がってきた今だからこその老舗の銘菓。ツウな方への京都土産にも、きっと喜ばれるのではないでしょうか。

最後までご覧いただきありがとうございました。

柳谷ナオ

<するがや祇園下里>
公式サイト(外部リンク)
京都府京都市東山区八坂新地末吉町79-80
075-561-1960
11時~18時
定休日 水曜

和菓子ソムリエ・ライター

■年間400種を優に超える和菓子を頂く和菓子ソムリエ&ライター。美味しさだけではなく、職人さんやお店、その土地の魅力をいかに伝えるかに重きを置いて執筆中! ■製菓衛生士免許所持・製造・販売・百貨店勤務経験有 ■和菓子・お取り寄せ・お土産・アンテナショップ・都内物産展&催事・和菓子とお酒&珈琲&ノンアルコールとのペアリングなどの執筆や取材、監修を得意としています。

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