【膣と直腸が貫通!直腸膣瘻闘病記⑦】完治には「ストーマ」宣告!絶対拒否で大号泣→希望の光が差し込む
私は長男を出産したときに直腸膣瘻(ちょくちょうちつろう:rectovaginal fistula)という、出産にともなう後遺症を患いました。
現代では、母子共に安全に生まれてくるのが当たり前になりつつあります。
しかし、実際には命の生まれ出る瞬間に必ずしも五体満足で経過するわけではありません。
また、子どもが無事でも、母体がダメージを受けてしまうこともあるでしょう。
私もその一人。出産直後にはなんともなくても、出産して数日たった後に「直腸膣瘻(ちょくちょうちつろう:rectovaginal fistula)」が発覚しました。
今回は第7話。
前回はY医師により、綿棒でほじられた瘻孔を目の当たりにした肛門科の主治医が大激怒!外来受診中でしたが「産婦人科に戻せない!」と怒り狂った肛門科主治医の意向で急遽転院となりました。
今回は、ほじられた瘻孔を確認した肛門科の医師たちにより、むごい宣告をされ大号泣してしまったお話です。
優しい看護師たちと出会い心救われる
急遽転院になりましたが、肛門科の看護師たちはとても優しく接してくれました。
新しい環境での不安もあったものの、彼女たちの温かい言葉や配慮に助けられ、一晩、久しぶりに心穏やかに過ごすことができました。
赤ちゃんの泣き声が聞こえないので、周りのママさんのようにお世話ができない劣等感にさいなまれることもなく、物理的に距離があるからこそ「できないものは仕方がない」と割り切れるようになりました。
翌日の診察、総院長の言葉
翌日、その病院の総院長に急遽診察を受けることになりました。
総院長は私の主治医の父親で、やはり珍しい症例だからこそあらかじめ医師2人体制で見ていくこととなり、総院長と主治医2人の診察を受けることになりました。
総院長に関しては急遽の受診だったため、外来に降りて診察を受けることになりました。
看護師の手を借りながら外来のベッドでうつぶせになり、少し緊張しながら待ちました。
うつ伏せなのではっきりと見えたわけではありませんが、主治医同様、総院長も非常に優しい印象のおじいちゃん先生でした。
そんなに待つことなく、総院長の診察の順番がまわってきました。ベッドをギャッジアップして、肛門に診察用の器具を入れ込みます。
相変わらずの恥ずかしさはありましたが、しっかりと股を診察してもらうために必要だと、言い聞かせていた自分がいました。
実際に総院長が股をのぞき込み、ひとこと言いました。
「いや…これはひどいね…どうしてこんなに…これはストーマだわ…」
その瞬間、私の心には驚愕が走りました。
「ストーマ」という言葉が、これほどまでに私を打ちのめすとは思ってもみませんでした。
ストーマとは??
ストーマとは、大腸の一部を切断し、腹部などを切開、体の表面に出口を作り、大腸内の便を排泄する方法。人工肛門とも言う。
直腸膣ろうの治療として用いる場合、排便時にかかる直腸内圧を避けるために造設し、瘻孔部分の治療において、瘻孔が再開通しないように造る。瘻孔の完全閉鎖が認められた時点で人工肛門は閉鎖する。
ストーマ拒否の涙と総院長からの希望の光
「ストーマだけは嫌だ!!」と、私は大号泣しました。
数々の仕打ちを受け、子どもとも引き離され、日に日に痛みが強くなる中で、私にとって「ストーマになる」というさらなる事実は受け入れがたいものでした。
30歳を超えた女性が、人目もはばかりかまうことなく感情を爆発させ、全力でストーマを拒否しました。
それほどまでに、ここに至るまでの数々の出来事が私を打ちのめしていたのです。
外来中にこだまする私の大きな鳴き声と、ストーマ拒否の雄たけびが、周囲に響き渡りました。
私の尋常じゃないありさまに思わず総院長は驚きました。
「わかった!わかった!何とかストーマじゃない方法を試してみる!!成功するかはわからないけど…試してみよう!」
その一言に、私はやっと感情を落ち着かせ...
「えっ?何とかなるんですか??」と、総院長に尋ねます。
「絶対とは言い切れない...むしろ確率的には低いかもしれない...。でも、ストーマじゃない方法を試してみたいんでしょ??」
そう、優しく語り掛けてくる総院長の笑顔と言葉に「はい...」と力なく答えました。
それでも、これ以上の仕打ちを受け入れる余裕は、当時に私には無かったのです。
「わかった。僕たちもできることを全力でするよ。繁さんにも少し頑張ってもらわなきゃいけないかもだけど...、一緒に頑張ろうね!!」
総院長は優しく頭を撫でてくれました。
その後ろで、力強く主治医がうなずいている姿も見えたのです。
そう言って、この日の診察は幕を閉じました。
総院長の言葉は、私にとって希望の光となりました。心の中に芽生えた少しの希望が、再び私を前に進ませてくれるようでした。次回の診察で何か進展があることを祈りながら、その日は静かに病室に戻りました。
8話に続く
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