【膣と直腸が貫通!直腸膣瘻闘病記⑪】1日14時間直腸膣ろうの情報収集。病み始めの兆候
私は長男を出産したときに直腸膣瘻(ちょくちょうちつろう:rectovaginal fistula)という、出産にともなう後遺症を患いました。
現代では、母子共に安全に生まれてくるのが当たり前になりつつあります。
しかし、実際には命の生まれ出る瞬間に必ずしも五体満足で経過するわけではありません。
また、子どもが無事でも、母体がダメージを受けてしまうこともあるでしょう。
私もその一人。出産直後にはなんともなくても、出産して数日たった後に「直腸膣瘻(ちょくちょうちつろう:rectovaginal fistula)」が発覚しました。
今回は第8話。
前回は、日常生活では起こりえない手術後に始まる絶対安静と絶食の治療が始まりました。
今回は、有り余る時間と思に情報収集だけしかすることがなく病み始める状況についてお送りします。
絶食・絶対安静の日々
緊急手術が終わって以降、私の生活は一変しました。絶食・絶対安静の日々が続く中で、体の自由が奪われ、精神的にも追い詰められていく感覚がありました。
麻酔が切れた後も、硬膜外チュービングという持続麻酔を継続してくれて痛みからは解放されたのが唯一の救いでした。
しかし、実際に痛みに悩まされることがなくなると、病状にばかり目が行くようで、今後の病状について悩む時間が増えて行きました。
いずれにしても心の中に渦巻く不安に悩まされていたのです。手術の影響で膣と直腸の状態がどうなっているのか、どのような治療が待っているのか、未来に対する恐れが消えませんでした。
日中、看護師による検温とおっぱいマッサージの時間が唯一の人との接触でしたが、それ以外は誰とも話さない孤独な時間が続いていました。病室の中は静寂が広がり、自分の思考だけが音を立てているような感覚に陥ります。毎日の流れは単調で、外の世界から切り離されたような気分になっていました。
主人のお見舞い
週の半分くらい、主人が仕事終わりの夜30分だけお見舞いに来てくれることが、私の心の支えでした。彼の顔を見ると少し安堵し、心が和む瞬間が訪れました。
しかし、同時におむつをつけておしっこの管を入れられている状態を見られるのは、非常に恥ずかしいものでした。心の中で「こんな姿を見られたくない...」との思いが巡ります。
「大丈夫だよ」と彼は言ってくれるけれど、その言葉は時に逆に重く感じられました。夫婦の絆が試されているような気がして、申し訳なさが心を締め付けます。彼が帰宅した後は思わず涙が溢れて来るのです。
清潔を保つことの難しさ
病院での生活では、髪も顔も体も、タオルで拭く以外の清潔を保つことができませんでした。体が不衛生な状態でいることが、精神的に追い詰められる要因の一つでもありました。
毎日、自分の不衛生な姿を鏡で見るたびに心が痛むのです。洗面所に行くこともできず、清潔を保つことにも限界があり、仕方がないと思いつつも現実は厳しいものがありました。
同じ看護師として、彼女たちの手を煩わせることにも心苦しさを感じていました。彼女たちの献身的なサポートに感謝しつつも、自分の状態を見せることが彼女たちにどれほどの負担をかけているのかと考えると、申し訳ない気持ちでいっぱいでもあったのです。自分がどれだけ苦しい状況に置かれていても、周囲に迷惑をかけたくないという思いがありました。
直腸膣瘻の治療法の調査
一日のほとんどを寝て過ごすだけだったので、他の人とかかわる以外の時間は、ひたすら「直腸膣瘻」の治療法について調べる毎日を送っていました。スマートフォンを使って、ネットで情報を探す日々。直腸膣論の治療法に関する情報は非常に限られていて、どれが本当に役立つのか、どれが自分に合っているのかを判断するだけの情報すら集められなかったのです。
孤独な時間の中で、不安ばかりが増長されし、どこか冷静さを失っている自分もいたのだと思います。周囲との接触が少なくなることで、心の中での葛藤も一層深まります。医療の現実と向き合いながらも、自分自身の気持ちをどう整理すれば良いのか、毎日焦るばかりの日々が続いていました。
それでも、時折思い出すのは子どもの笑顔です。子どもに会いたいという思いが、私を強く保ってくれていることも事実でした。どんなに辛い状況でも、子どものために強くありたいと願う気持ちと、「ストーマになるのでは?」という不安で毎日が終わるのでした。
12話に続く
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