にぎやかな子供たちの嬌声、黄色やオレンジなどの帽子、先生たちの伸びの良い声…昼間の公園を思い切り走り回り、時に砂埃をあげてステンと転んだかと思えば、時間を置いてから声を上げて泣き出して。

あらあら、なんて思いながら和菓子屋さんのショーケースに視線を向けるのです。

東京都中央区、銀座や日本橋といったイメージとはまた別のアットホームな一面を持つ町もあり、鉄砲洲稲荷神社に併設された鉄砲洲公園は毎日のように子供たちの元気な声で溢れています。その公園から道路を挟んで目の前にお店を構えるのが、昭和初期創業といわれている和菓子屋「しげ田」さん。

昔は今よりも多かったといわれるドアが無い路面店スタイルのお店は、夕方前には自慢の朝生菓子が完売になることも。今回はしげ田さんの「栗蒸し羊羹」をご紹介。

しげ田さんの栗蒸し羊羹の特徴は、カット売りということもありますが、その大きさも人気のひとつ。棹状ではなく立方体にカットされており、小ぶりなサイズ感なのでおやつにぴったり。また、ひとつ230円という良心的すぎる価格も、あれこれ購入したい人にも嬉しい。

しかし、食べ応えは見た目以上！もちもち、と申しますか、むぎゅっとかなり強かな食感の蒸し羊羹は、すっきりとした甘さのしげ田さん自慢のこし餡に小麦粉を合わせて蒸しあげたもの。噛み応えがあるので、口の中に比較的長時間こし餡の甘味や風味が留まってくれて心もほっこり。

また、瓶詰の栗を使用していると仰っていましたが、これがまたこりこりっと歯ざわりが良く、ぷるんとした錦玉と相まって食感に変化をもたらしてくれる準主役。たっぷりと蒸し羊羹の表面に並べられた栗は少なすぎず多すぎずぴったりな塩梅。

また、やや硬めの質感なので菓子切りやフォークでは食べづらいというお子様も、手で持ってそのままぱくりと食べやすく、家族揃って秋のおやつを楽しめるかと。

目の前の公園にはベンチやテーブルも設置されておりますので、これから色づいてくる街路樹を眺めながら、近くのコンビニで購入した珈琲と一緒にひと息ついてみませんか。

最後までご覧いただきありがとうございました。

柳谷ナオ