西九州新幹線の武雄温泉駅、新幹線と在来線が同じホームに 乗り換えのわずらわしさをどう解決した?
西九州新幹線の武雄(たけお)温泉(佐賀県)~長崎(長崎県)間の開業にあたり、どうしても避けられないのが新幹線と在来線特急との乗り換えである。この乗り換えをスムーズにすることで、博多~長崎間のトータルの所要時間を短縮し、乗り換えが発生しても不満を軽減させるようにすることができる。
乗り換えのわずらわしさをどう解決するのか?
対面乗り換えの導入
武雄温泉では、新幹線と在来線特急が同一のホームを使い、そのホームで乗り換えができるようにする。島式ホームという形式で、ホームの左右それぞれ新幹線、在来線の乗降口となっており、乗客はフロアを上下しなくても移動できるようになる。
7月20日、JR九州は同駅で在来線と新幹線の乗り換え試験をし、乗り換え時の安全確保の手順や問題点を確認。在来線と新幹線ののりばは向かい合っているものの、10メートル離れている。それを3分間で乗り換えられるように動線を確保し、車いす利用者の介助手順を確認した。
この「対面乗り換え」で、新幹線と在来線の接続を向上させ、トータルでの速達性を確保する。その中でも安全性は重視し、すみやかに乗り換えられるようにする。
JR九州には、新幹線と在来線の対面乗り換えの前例がある。
2004年3月に九州新幹線の新八代(熊本県)~鹿児島中央(鹿児島県)間が開業した際、新八代では在来線特急と同一ホーム上で乗り換えられるようにした。その状況は、2011年3月の九州新幹線博多~新八代開業まで続いた。
この間、博多~新八代間は「リレーつばめ」、新八代~鹿児島中央間は「つばめ」と乗り継がなければならなかったものの、同一ホームとなっていたために乗客は楽に移動することができた。
その前例を、西九州新幹線でも踏襲したのだ。
ちなみに、新八代での対面乗り換えの際には、現在の新幹線下り線乗り場の反対側にホームを設け、そこから乗客が移動するようにしていた。九州新幹線全線開業の際に、新しい上りホームができた。新八代は現在、相対式ホームとなっている。
武雄温泉では、在来線と新幹線が使用する島式のホームだけではなく、それに向き合うホームも設けられる。すでに西九州新幹線が全線開業するときに備えられているのだ。
新潟の利便性向上、新函館北斗の意識
JR東日本の新潟では、以前は上越新幹線で2面4線のホームを使用していたが、そのうちの1線の反対側に乗り換えホームを設け、特急「いなほ」との乗り換えを向上させた。
新潟駅は、全駅高架化の工事の中で上越新幹線と在来線が同じフロアになり、上越新幹線と特急「いなほ」を上下移動なしで利用できるようにした。間には乗り換え改札をはさんでいる。
「いなほ」に接続する上越新幹線のほとんどは、新潟駅では同じホームに入るようにし、乗り換えの所要時間も短くなるようにしている。
いっぽう、最初から乗り換えを意識してつくられたのが北海道新幹線の新函館北斗(北海道)である。新函館北斗の新幹線ホームは、相対式ホームとなっている。新函館北斗で在来線から新幹線に乗ろうとする人は、新幹線の相対式ホームの片方と在来線ホームがつながっているので、フロアの上り下りなしに新幹線に乗り換えることができる。長いホームの端を削って作った切り欠きのホームからは「はこだてライナー」が発着し、長いホームでは特急との乗り換えが可能だ。
新函館北斗で北海道新幹線から降りた人は、フロア間移動が必要ではあるものの、函館や札幌から来た乗客が北海道新幹線に乗るにあたってはシンプルに移動できるようにしている。このあたりの動線を意識して設計されたのが新函館北斗である。
新幹線と在来線の乗り換えは、面倒な場合が多い。乗り換えを意識しなければならない駅では、それに特化した構造にするというのも、ひとつの考えとしてありうるではないだろうか。