冷戦体制を脱却したい勢力と継続させたい勢力の葛藤
フーテン老人世直し録(124)
乙羊元旦
あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。
さて元旦のニュースでフーテンが最も注目したのは、北朝鮮の金正恩第一書記が南北首脳会談に前向きな演説を行った事である。韓国政府は3日前に南北間対話再開を呼び掛けており、金第一書記はそれを上回る対応を示すことで自らの積極姿勢をアピールした。
この演説には今年が「戦後70年」という背景がある。南北朝鮮が日本の植民地支配からの解放という共通認識によって関係改善の可能性を高める狙いがある。同時に今年は南北分断と朝鮮労働党創建70年にも当たるため、南北関係の転換は金第一書記の大きな業績になる。
金第一書記は南北統一について「不信と葛藤をあおる『制度統一』を追求してはならない」と述べ、北朝鮮の社会主義制度を韓国に要求する事はせず、対話と交流を強めて「南北関係に大転換をもたらす」決意を表明した。
これを聞いてフーテンは、昨年末にアメリカのオバマ大統領がキューバとの国交回復交渉開始を発表したニュースを思い浮かべた。この時にも両国は資本主義と社会主義という体制の違いを尊重しながら関係の正常化に取り組む方針である事を明らかにした。
これに共和党は反発しているが、大統領は「冷戦の遺物」ともいうべき「封じ込め戦略」に意味はなく、むしろキューバを抱き込み、ウクライナ問題で対立するロシアとの関係に楔を打ち込む事に戦略的メリットはあるとしている。
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