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警戒を要する台風5号の東側の雲

饒村曜気象予報士
雲の渦巻き 台風イメージ(提供:アフロ)

台風5号の発生

 台風5号が、6月8日3時にフィリピンの東海上で発生しました。6月末までの平年の台風発生数が約4個であり、すでに平年値を超えていますが、フィリピンの東海上では引き続き対流活動が活発で、さらに6月中に台風が発生する可能性もあり、今のところ、今年は台風発生の多い年といえそうです(表)。

表 台風の発生数等の平年値(表の上)と平成30年(2018年)の台風発生数(表の下)
表 台風の発生数等の平年値(表の上)と平成30年(2018年)の台風発生数(表の下)

 今後、台風5号は次第に発達して暴風域を伴うようになり、10日(日)の夜には四国の南海上、11日(月)の夜には関東の南東海上に達する見込みです(図1)。

図1 台風5号の進路予想(6月9日0時の予想)
図1 台風5号の進路予想(6月9日0時の予想)

 予報円の一番北側を通ると、関東地方に上陸の可能性もあります。

 もし、台風が6月に上陸したとなると、平成24年(2012年)6月19日夕方に和歌山県南部に上陸した台風4号以来、6年ぶりということになります(図2)。このときは、台風が沖縄の南海上にあった6月18日から九州を中心に沖縄から近畿地方で局地的な大雨となっています。

図2 平成24年6月18日9時と19日9時の地上天気図
図2 平成24年6月18日9時と19日9時の地上天気図

台風5号の東側の積乱雲

 台風5号は、東側に多くの積乱雲を伴って北上しています(図3)。

図3 気象衛星「ひまわり」の可視画像と地上天気図(6月8日21時)
図3 気象衛星「ひまわり」の可視画像と地上天気図(6月8日21時)

 梅雨前線は台風5号の北上に伴って暖湿気流が流入して活発化し、南東斜面などで局地的な大雨の可能性がありますが、梅雨前線に台風東側の積乱雲が接近した場合には、台風本体が接近前から大雨の可能性があります。

 週末は台風の中心から離れていても大雨に対する警戒が必要です。

図1、図2、表の出典:気象庁ホームページ。

図3の出典:ウェザーマップ提供。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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