これまでの30度とこれからの30度は違う・梅雨前線が西日本から北上して湿度の高い暑さに
南岸低気圧通過後の晴天
令和6年(2024年)6月19日は、ほぼ全国的に雨を降らせた南岸低気圧が日本の東海上に去り、前線も南西諸島まで南下したため、曇りや雨となっている南西諸島を除いて、晴れて気温が高くなったところが多くなりました(図1)。
6月19日に全国で一番気温が高かったのは、福岡県・太宰府の34.8度で、最高気温が35度以上の猛暑日を記録した所はありませんでした。
ただ、最高気温が30度以上の真夏日は284地点(気温を観測している全国914地点の約31パーセント)、25度以上の夏日は740地点(約81パーセント)もありました(図2)。
そして、6月20日も真夏日が320地点(約35パーセント)、夏日が663地点(約73パーセント)に達すると予測されています。
今年は、6月14日に猛暑日16地点(約2パーセント)、真夏日418地点(約46パーセント)を観測したのが現時点で最多です。また、6月12日に夏日825地点(約90パーセント)を観測したのが現時点の最多ですから、その時に比べれば少ないといっても、平年に比べれば、早く訪れている暑さです。
ただ、この暑さは、大陸育ちの高気圧におおわれたところに、強い日射が加わってのものですので、湿度が比較的低い暑さです。
今週末には西日本から梅雨前線が北上してきますので、曇りや雨の日が増え、新たに梅雨入りとなる地方がある見込みです。
そして、太平洋の高気圧におおわれての暑さ、つまり、湿った暑さに変わり熱中症になりやすくなります。
梅雨入りしている地方も、梅雨入りしていない地方も、これまでの30度と、これからの30度は違うという意識で、熱中症対策を行うことが大切です。
令和6年(2024年)の梅雨
令和6年(2024年)は、太平洋高気圧の北への張り出しが弱く、梅雨前線がなかなか北上してこないため、各地で梅雨入りが遅れています(表1)。
梅雨入りが一番遅い東北南部で、梅雨入りの平年が6月15日と、すでに過ぎています。
このため、梅雨入りしていない地方でも、平年より遅い梅雨入りが確定しており、今年、令和6年(2024年)は、梅雨のない北海道を除き、全国的に梅雨入りが遅かったということができます。
南岸低気圧の通過による雨によって、九州北部は6月17日に梅雨入りしたのは、南岸低気圧の通過後に前線が南下して晴れ間が広がるものの、すぐに東シナ海から九州にかけて前線が北上してくる予想であったからです(図3)。
しかし、近畿や東海、関東甲信などは、南岸低気圧の通過後の晴れ間の期間が九州北部より長いことなどから、6月17日の梅雨入りは見送られました。
とはいっても、今週末には、梅雨前線が北上してくることから、遅ればせながらの梅雨入りになる地方があるかもしれません。
一方、沖縄・奄美は、今週中には梅雨明けとなり、晴天の夏空が続く見込みです。
ウェザーマップは16日先までの天気予報を発表していますが、これによると、那覇は、6月20日から21日は黒雲マーク(雨の可能性がある曇り)ですが、21日以降は、お日様マーク(晴れ)が並ぶ予報です(図4)。
しかも、この予報は、降水の有無の信頼度が5段階で一番高いAが多い予報です。
沖縄地方は、今週末までに梅雨明けする可能性が高いといえます。
【追記( 6月20日16時)】
沖縄気象台は、6月20日昼前に、平年より1日早く梅雨明けしたと発表しました。
鹿児島県奄美地方も同様です。奄美大島の名瀬は、6月20日から21日は傘マーク(雨)と黒雲マークですが、22日以降は、お日様マーク(晴れ)が並ぶ予報です(図5)。
降水の有無の信頼度が5段階で一番高いAが多い予報ですので、奄美地方も6月22日には梅雨明けしそうです。
ただ、沖縄地方、奄美地方ともに、梅雨明け前に降る豪雨に注意が必要です。
また、北上してきた梅雨前線が停滞する九州では、24時間に200ミリ以上の雨が降る予想となっていますので、南岸低気圧よって大雨が降った所では、土砂災害等に厳重な警戒をしてください(図6)
大阪と東京の梅雨入りは
北上してきた梅雨前線が九州で停滞するということは、近畿や東海、関東での雨の降り出しが遅れることを意味します。
大阪の16日先までの天気予報をみると、傘マーク(雨)が並ぶのは6月22日以降です(図7)。
降水の有無の信頼度が、5段階で真ん中のCや、一番低いEが多い予報ですが、近畿地方は6月22日頃に梅雨入りしそうです。
ただ、東京の16日先までの天気予報を見ると、降水の有無の信頼度が、5段階で一番低いEが多い予報ですが、傘マーク(雨)が並ぶのは、6月23日以降、それも3日間となっています(図8)。
東京の16日先までの天気予報では、関東甲信地方の梅雨入りは、6月23日の可能性が高いといえます。
昭和26年(1951年)から昨年までの73年間で、関東甲信地方で梅雨入りが一番多かったのは6月上旬の後半(6日から10日)です(図9)。
関東甲信地方で、梅雨入りが一番遅かったのは、平成19年(2007年)と昭和42年(1967年)の6月22日ですので、今年は、平年より遅いだけでなく、過去最も遅い梅雨入りを更新する可能性があります。
ただ、関東甲信地方の梅雨入りが遅くなる、あるいは、梅雨期間が短くなるといっても、降水量が少なくなるとは一概に言えません(表2)。
関東甲信地方で遅い梅雨入りだった1位から7位の梅雨期間の雨量を調べると(同日の場合は新しい年が上位)と、平年より雨量が多かった(平年比が100%以上の年)のが過半数となっています。
近畿地方も同様に、梅雨入りが遅かった1位から7位をとると、これも平年より雨量が多かった年が過半数です。
つまり、梅雨入りが遅いといっても、梅雨期間の降水量が少ないとは言えないこと、つまり、短い期間で多量の雨が降る年が少なくないことを示しています。
遅い梅雨入りであっても、短期集中型の大雨には注意が必要です。
図1、図4、図5、図6、図7、図8の出典:ウェザーマップ提供。
図2の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。
図3、表1の出典:気象庁ホームページ。
図9、表2の出典:気象庁ホームページをもとに筆者作成。