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週明けは九州北部の梅雨入り 関東甲信は週末にずれこみ記録的に遅い梅雨入りの可能性あり

饒村曜気象予報士
沖縄付近から北上した梅雨前線上に発生した低気圧(6月18日9時の予想)

真夏を思わせる暑さ

 今年、令和6年(2024年)は、沖縄・奄美・九州南部・四国で梅雨入りしていますが、各地とも平年より遅い梅雨入りでした。

 また、九州北部から東北北部も、6月16日までに梅雨入りしていませんので、平年より遅い梅雨入りが確定しています(表)。

 表 令和6年(2024年)の各地の梅雨入りと平年の梅雨入り
表 令和6年(2024年)の各地の梅雨入りと平年の梅雨入り

 つまり、令和6年(2024年)は、梅雨がないとされる北海道を除いて、全国で遅い梅雨入りとなります。

 6月16日は、梅雨前線が沖縄付近で停滞し、南西諸島は雨の所が多くなっていますが、多くの地方は大陸からの高気圧におおわれて晴天となり、強い日射で気温が上昇しています。

 全国で一番気温が高かったのは、福島県・梁川の34.2度で、最高気温が35度以上の猛暑日を記録した所はありませんが、最高気温が30度以上の真夏日は284地点(気温を観測している全国914地点の約31パーセント)、25度以上の夏日は776地点(約85パーセント)もありました(図1)。

図1 全国の猛暑日、真夏日、夏日の観測地点数の推移(6月17日以降は予想)
図1 全国の猛暑日、真夏日、夏日の観測地点数の推移(6月17日以降は予想)

 今年は、6月14日に猛暑日16地点(約2パーセント)、真夏日418地点(約46パーセント)を観測したのが現時点で最多です。また、6月12日に夏日825地点(約90パーセント)を観測したのが現時点の最多ですから、6月16日の暑さは、これらの今年一番の暑さに準ずる暑さでした。

梅雨前線の北上

 令和6年(2024年)は太平洋高気圧の北への張り出しが弱く、梅雨前線がなかなか北上しないことから、梅雨入りが遅れたのですが、ここへきて太平洋高気圧が少し強まり、梅雨前線が北上する気配がでてきました。

 つまり、沖縄・奄美地方で梅雨明け、九州北部など、梅雨入りしていない地方での梅雨入りの気配です。

 ウェザーマップは、16日先までの天気予報を発表していますが、那覇の16日先までの天気予報を見ると、6月20日以降はお日様マーク(晴れ)と白雲マーク(雨の可能性が少ない曇り)が並んでいます(図2)。

図2 那覇の16日先までの天気予報
図2 那覇の16日先までの天気予報

 降水の有無の信頼度が5段階で1番高いAが多く含まれている予報ですので、今週後半の6月20日には、沖縄地方が梅雨明けすると思われます。

 沖縄地方の梅雨明けの平年は6月21日ですので、ほぼ平年並の梅雨明けになりそうです。遅く始まって平年並で梅雨が終わるということは、平年より梅雨期間が平年より短い年ということになります。

 また、奄美大島の名瀬の16日先までの天気予報を見ると、6月22日以降はお日様マーク(晴れ)と白雲マーク(雨の可能性が少ない曇り)が並んでいます(図3)。

図3 名瀬の16日先までの天気予報
図3 名瀬の16日先までの天気予報

 降水の有無の信頼度は、那覇ほどAは多くないのですが、1番低いEが含まれておらず、2番目に低いDも一日だけですので、今週末にも奄美地方が梅雨明けしそうです。

 奄美地方の梅雨明けの平年は6月29日ですので、今週末に梅雨明けすれば、平年より早い梅雨明けとなります。

 一方、梅雨前線が北上してくるため、九州北部など、まだ梅雨入りしていない地方は、そろそろ梅雨入りの気配です。

九州北部の梅雨入り

 福岡の16日先までの天気予報を見ると、6月19日はお日様マーク(晴れ)と白雲マーク(雨の可能性が少ない曇り)ですが、それ以外の日は傘マーク(雨)と黒雲マーク(雨の可能性がある曇り)の日が並んでいます(図4)。

図4 福岡の16日先までの天気予報
図4 福岡の16日先までの天気予報

 北上してきた梅雨前線上に発生した低気圧が通過することによる週明けの6月17日から18日の雨のあと、少し前線が下がって晴れ間が広がります(タイトル画像)。

 しかし、すぐに前線が北上し、20日以降は傘マーク(雨)と黒雲マーク(雨の可能性がある曇り)の日が続く予報です。

 降水の有無の信頼度は、5段階で1番低いEや2番目に低いDが含まれている予報ですが、18日から19日の天気予報が雨よりに変われば、17日にも梅雨入りすると思われます。

 18日から19日の天気予報が晴れよりに変わっても今週末までには梅雨入りしそうです。いずれにしても、九州北部の梅雨入りの平年が6月4日ですので、かなり遅い梅雨入りということができます。

【追記(6月17日11時40分)】

 気象庁は、6月17日11時過ぎに九州北部が梅雨入りしたと思われると発表しましたので、タイトルと内容の一部を変更しました。

 今週の半ば以降の梅雨前線の北上は、西日本中心で、近畿地方などは梅雨入りするかもしれませんが、難しいのは関東甲信地方の梅雨入りです。

関東甲信地方の梅雨入り

 東京の16日先までの天気予報を見ると、降水の有無の信頼度が5段階で1番低いEや2番目に低いDが多く含まれている予報ですが、今週はお日様マーク(晴れ)が多く、傘マーク(雨)が少ない予報です(図5)。

図5 東京の16日先までの天気予報
図5 東京の16日先までの天気予報

 この予報では、6月19日から21日の予報が雨よりに変われば6月18日に梅雨入りする可能性もありますが、この日に梅雨入りしない場合は、週末の6月22日に梅雨入りということになりそうです。

 関東甲信地方の梅雨入りの平年は6月7日で、過去一番遅い梅雨入りは平成19年(2007年)の6月22日ですので、6月22日に梅雨入りの場合は、最遅のタイ記録ということになります(図6)。

図6 関東甲信地方の昭和26年(1951年)以降の梅雨入り
図6 関東甲信地方の昭和26年(1951年)以降の梅雨入り

 ただ、すでに高温・多湿となっており、梅雨入りするかどうかにかかわらず、食中毒が起きやすい季節に入っています。

 梅雨は、昔は黴雨(バイウ、バイキンのバイに雨)と書いていました。梅の実の熟す頃の雨というより、バイキンの雨という意識で、健康に注意してください。

タイトル画像、図2、図3、図4、図5の出典:ウェザーマップ提供。

図1の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図6の出典:気象庁ホームページをもとに筆者作成。

表の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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