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日本近海で発生する台風に対しては「発達する熱帯低気圧に関する情報」が発表される

饒村曜気象予報士
雲の渦巻き 台風イメージ(提供:アフロ)

今年の台風は、台風1号の発生が7月3日と非常に遅かったものの、7月だけからみると、4個発生と平年並の発生です。

8月は日本の近海で発生

春から夏になるにつれ、台風は高緯度で発生するようになり、時には、日本のごく近くで発生することがあります。

気象庁では、日本に接近する台風に対して、台風情報等を発表して警戒を呼びかけています。しかし、平成16年(2004年)の台風11号のように、日本近海で熱帯低気圧が急速に発達して台風になった場合は、台風情報を発表してすぐに台風が上陸することになり、事前の準備に十分な時間がとれません。

図 平成16年の台風11号の経路
図 平成16年の台風11号の経路

平成16年の台風11号では、8月4日9時の観測による天気図で台風の発生を確認し、13時40分に台風情報を発表しましたが、そのわずか9時間後の22時30分頃には徳島県東部に上陸しています。

このため、十分な対応がとれなかったという批判などから、翌17年から「発達する熱帯低気圧に関する情報」を発表することとしています。

これは、24時間以内に台風になると予想した熱帯低気圧のうち、日本への接近(おおよそ300キロメートル)が見込まれるときに、その実況と24時間後の予想位置を発表するものです。

平成16年の台風11号の場合

「発達する熱帯低気圧に関する情報」を発表する事例は、まだありませんが、平成16年の台風11号の時に、この情報があったとすると、上陸24時間前の3日22時30分に「熱帯低気圧が24時間以内に台風に発達し、西日本に接近する見込です」という発表になります。

8月は、台風が日本近海で発生しやすい月です。

「発達する熱帯低気圧に関する情報」を発表するにいたらなくても、日本近海で台風が発生し、発生後、短時間で上陸ということは十分ありえますので、台風情報をこまめにチェックする必要があります。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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