ビジャレアルがユヴェントスを倒せた理由。人口5万人の街のクラブが、CLでベスト8に入る価値。
ビジャレアルが、大事を成し遂げた。
ビジャレアルはチャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦でユヴェントスと対戦。ファーストレグを1−1で折り返した後、セカンドレグで3−0と勝利して準々決勝進出を決めた。
■ビジャレアルの快挙
ビジャレアルは人口5万人の街だ。バルセロナから電車で2時間ほど行くと、田園風景よろしく、綺麗な街並みが広がる。ただ、とてもではないが、そこはチャンピオンズリーグでベスト8に進出するようなチームが存在するとは思えないような場所だ。
そのような街の、そういったチームが、欧州最高峰の舞台で名門ユヴェントスを破った。それは快挙と言っていいだろう。
「アウェーゴールが2倍になるというルールがなくなった。つまり、延長戦やP K
戦になる可能性が高まったということだ。ユヴェントスとの一戦は長い試合になる。彼らはほとんど負けることがないチームなんだ」とはセカンドレグ前のウナイ・エメリ監督のコメントである。
長い試合になるーー。昨季のヨーロッパリーグ決勝のマンチェスター・ユナイテッド戦、今季のUEFAスーパーカップのチェルシー戦でも、ビジャレアルは“長い試合”を経験した。ビッグクラブを倒すためには、避けて通れない工程だった。
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■ビッグマッチの戦術分析
ビジャレアルは【4−4−2】でユヴェントス戦に臨んだ。2トップにはダンジュマとロ・チェルソが入り、それは実質ゼロトップでもあった。
守備時に【5−3−2】を形成するユヴェントスに対して、ビジャレアルはビルドアップで円滑にボールを進められなかった。ビルドアップが「スクエア型」になり、ユヴェントスのプレス網に引っ掛かっていた。
対して、ユヴェントスのビルドアップは効果的だった。左サイドで、CBのルガーニが持ち上がり、ボールを保持しながら中盤に侵入する。
左SBのデ・シリオがワイドに張り、左インテリオールのラビオが中途半端なポジションを取る。数的優位をつくり、ビジャレアルにプレスの的を絞りにくくさせた。
とりわけ、ラビオの存在は厄介だった。そこのマークが浮いてしまい、自由に起点をつくられた。
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