東京方面からの新幹線で木古内駅に下車 「やっぱり悪かった!」道南いさりび鉄道との列車接続
筆者が、先日のLINEヤフー本社で開催された勉強会兼懇親会に参加した際の帰りに、東京―仙台間の新幹線が満席だったことから、常磐線経由の特急ひたち3号で品川駅から仙台駅に向かい、そこから北海道新幹線はやぶさ23号に乗り換えて木古内駅まで戻ってきたことは2024年9月15日付記事(東京―仙台間の新幹線が満席だと!? 5時間近くかかる仙台行「特急ひたち号」に乗ったら意外に快適だった)でも触れた。
基本的には北海道新幹線と道南いさりび鉄道は、お互いの接続を一切考慮することなく、独立して運行されているが、はやぶさ23号との接続は良く16時32分に函館行が出発する。しかし、次に木古内駅に17時35分に到着するはやぶさ25号では次の函館行は19時10分発となっていることから2時間近く待たざるを得ず、この函館行が発車した25分後の19時35分に木古内駅に東京からのはやぶさ33号が到着するといったありさまで、新幹線からの乗り換え需要を取りこぼしているといったも過言ではない状況だ。さらに東京方面から木古内駅に21時32分に到着する最終のはやぶさ号に道南いさりび鉄道の接続はなく、この新幹線が到着する30分近く前の20時55分に函館行がすでに発車してしまっている。
道南いさりび鉄道は2016年に北海道新幹線の新青森―新函館北斗間が開業した際にJR北海道から経営分離された江差線の五稜郭―木古内間を第三セクター鉄道路線として引き継いだ路線で、北海道も64.7%を出資している。旅客列車はすべて函館駅まで直通しているが、この路線は、北海道と本州方面を結ぶ貨物列車の幹線ルートにもなっており、多くの貨物列車も走行している。
にもかかわらず、2023年9月、北海道と沿線自治体で構成する道南いさりび鉄道沿線地域協議会では、道南いさりび鉄道の2026年以降の存廃について2023年度中に存廃協議を行うという驚きのニュースが流れ、社会に衝撃を与えた。新型コロナウイルスの影響による利用低迷や施設の老朽化などにより今後の設備投資がかさむことなどが理由だという。この問題については記事(「利用低迷に老朽化」で廃線危機の道南いさりび鉄道 経営改善の手立ては本当にないのか!?)でも詳しく触れているが、その後、2024年4月になり、道と沿線自治体との書面開催により行われた協議会資料で「2026年度以降、当面は鉄道運行を維持することを念頭に置く」と発表され、しばらくは列車の運行が続けられることになった。
道南いさりび鉄道の筆頭株主を務める北海道は、利用促進のために出来ることを放棄し、安易な存廃議論に走るのではなく、鉄道の利便性を高め地域の経済発展や観光振興に活かす手立てについても検討するべきではないだろうか。
(了)