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【その後の鎌倉殿の13人】鎌倉幕府の相撲大会、勝つのは誰だ!?

濱田浩一郎歴史家・作家

嘉禄3年(1227)3月27日、鎌倉の幕府において、相撲大会がありました。出場する相撲取りの中には、法師(僧侶)もおります。城太郎という武士が連れてきた者です。この法師の対戦相手は、平太という者で、周防前司の中原親実が連れてきた男。

昨年(1226)、朝廷より征夷大将軍に任命された藤原頼経(鎌倉幕府4代将軍)は、この2人の相撲取りを見て(平太という者が勝ちそうだ)と密かに感じていました。将軍・頼経は、藤内左衛門尉定員に命令して、陰陽師(安倍晴賢・晴貞・重宗・道継)らを呼び寄せます。そして「一(男、平太)と二(法師)、どちらが勝つか占え」と命じたのです。

陰陽師たちは、早速、昼頃に占いを開始。結果、安倍晴賢は「一の男が勝つ」と主張。晴貞も「一が勝つ」と結果を言上。重宗は「引き分けとなるでしょう」。道継は「二(法師)が勝ちます」。4人の陰陽師は、相撲の試合結果をそれぞれ報告したのでした。

夜に入り、17番に及ぶ相撲が行われます。果たして、勝負の結果は、どうだったのか。二(法師)は一(平太)に負けてしまったのです。安倍晴賢と晴貞の占いが当たったということです。また、将軍・頼経(幼名・三寅)の直感も的中したと言えましょう。幕府における相撲大会は、相撲取りの戦いというだけでなく、陰陽師らの占いの優劣がよく分かる場でもありました。

歴史家・作家

1983年生まれ、兵庫県相生市出身。皇學館大学文学部卒業、皇學館大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。兵庫県立大学内播磨学研究所研究員、姫路日ノ本短期大学講師、姫路獨協大学講師を歴任。『播磨赤松一族』(KADOKAWA)、『北条義時』『仇討ちはいかに禁止されたか?』(星海社)、『家康クライシスー天下人の危機回避術ー』(ワニブックス)ほか著書多数

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