不思議な”輪っか雲”のでき方
一昨日(17日)、群馬県や栃木県内で「輪っか雲」とよばれる雲が撮影され、ネット上などで話題になっています。上掲の写真は、視聴者の方から提供されたものです。(15時45分ごろ、宇都宮付近)
私は職業柄、こうした不思議な雲もよく見たりしますが、この雲は初めて見た種類のもので、どうやって出来たのかよく分かりませんでした。そこで撮影場所に近い、群馬県・前橋地方気象台に問い合わせたところ、謎が氷解しました。
教えていただいたのは、大森俊哉予報官。大森予報官によると、これは浅間山の山岳波によって出来る吊るし雲で、そもそも穴が空いて見えるのが錯覚で、この雲自体は球体であるとのことでした。つまり、穴に見える部分は水蒸気量の多いところで、雲が分厚くなって暗く見えているのです。
また、雲の穴(本当は穴ではない)から吹き出すように見えている白い帯は、上空のジェット気流によってできる巻雲で、氷の粒で出来ています。
大森予報官によると、吊るし雲自体は珍しくないが、太陽高度と相まって、巻雲が合わさって現れるのは、見たことがないとの事でした。
不思議と思うことでも、答えを聞くと「なーんだ」と反応しがちですが私は逆に、この雲を見て、即座に「吊るし雲」と看破した大森予報官の技量に感心してしまいました。