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岡山県にバケモノ?を背負った”お地蔵さん”の姿が…。昔、ここで一体何があったのか?

旅人間はらぺこライター

はらぺこライターの旅人間です。今回は「何だコレ?」って思わず二度見した不思議なお地蔵さんについて。まるで何かに憑りつかれているような…。いや、背負ってる。妖怪・バケモノ?昔、ここで一体何があったのだろうか?

ここは岡山県真庭市にある湯原温泉。車で少し走ると鳥取県の県境だ。自然豊かな山々に囲まれた静かな温泉街をぶらり散策してみた。

お地蔵さんが背負っているのは?

「もしかして、何かに憑りつかれている?」って思いたくなるが、よく見たら地蔵さんは”バケモノ?らしき者の手”をしっかり握っている。まるで慈悲深く助けるように。そして、背負われている方も身を委ねているように見える。

しかも、この温泉街では他の場所でも同じようなお地蔵さんが複数存在する。

このお地蔵さんは「はんざき地蔵」という。

「はんざき」とは…?

国の特別天然記念物のオオサンショウウオのことを、この地域(岡山県真庭市湯原温泉)では「はんざき」と呼ぶ。

ちなみに…これは雑学になるが、オオサンショウウオの名前の由来は、体の表面の「いぼ」から出る粘液が山椒のニオイに似ているからだとか。この地域で「はんざき」と呼ばれているのは、半分に引き裂いても再生する「はんざけ」からという説があるという…。

それにしても、「半分に引き裂いて…」って穏やかじゃない。何かあったのか?調べてみると、この地域には「化け物退治」の昔話があるそうな。

「化け物退治」の昔話

文禄元年(1592年)頃、この辺りは大きな渕になっており、そこには巨大な”はんざき”が住んでいたと言う。そして夜になると陸に上がり牛や馬を食べていたとか、人を引きずり込んで食っていたとも…。

これを退治したのが三井彦四郎という若者だった。その際、彦四郎は”はんざき”に飲み込まれたが腹を引き裂いて出て来たと言う。

その”はんざき”の大きさは身の丈10m50cm、胴回り4mもあったとか。

しかし、この化け物退治のあと、彦四郎の一家は死に絶えてしまった。また、村にも様々な災いが起こったという…。

村人は退治された”はんざき”の霊を慰めるため、淵のそばに祠を建てて霊を祀った。それが今に残る「鯢大明神」だそう。
(※鯢=はんざき)

静かにひっそりと祀られている…。

はんざきセンター

そして現在、この「鯢大明神」の隣には、「はんざきセンター」がある。ここでは、湯原温泉と”はんざき”との歴史や関わりなどが展示紹介され、また保護された”はんざき”を間近で見ることが出来る。

1メートルを超える大きさのものも…。

また、この湯原温泉では「はんざき巡り」と称した散歩道がある。そう、はんざきをモチーフにしたモニュメントなどが至る所に点在しているのだ。最初に紹介した「はんざき地蔵」もその一つと言えるだろう。

ここ湯原温泉は、湯原ダムの下流の旭川沿いに温泉街が広がっている。川はとっても美しく、この川沿いを散策するだけでも癒される。

この川にどこかに”はんざき”が生息しているのだろうか?

湯原温泉の中にある湯原観光情報センターの方にお話を聞くと、大雨の後などは流されてくることがあるそうだが、基本的には、センターの前にある細い川の付近が”はんざき生息地”とのこと。

そして、少し歩けば途中で足湯などがある。

そこには、”はんざき”のモニュメントも…。

温泉街を歩いていると、様々な場所で”はんざき”のモニュメントやイラストが見つかる。それが超可愛かったりするのだ。例えば、それは湯原ダム管理事務所の看板もその一つ。

なんか…ゆるいでしょ(笑)

その昔、この地域には住んでいた巨大な”はんざき”の物語。その昔話は少し怖いようにも感じるが、今は温泉街の守り神として、また親しみあるキャラクターとなっている。

温泉街を散策すると「何だコレ?」ってのが色々と見つかる。気になる方は最初に「はんざきセンター」に寄ってみると良い。散策マップがある。

ちなみに、湯原温泉は湯郷温泉、奥津温泉とともに美作三湯と呼ばれている。とっても素敵な場所ですよ。

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はんざきセンター
住所:岡山県真庭市豊栄1530
電話番号:0867-62-2011
営業時間:9:00~17:00(6月1日~10月31日は19:00まで)
閉館日:年末年始
参考ホームページ(外部リンク)
地図(外部リンク)

はらぺこライター

旅行好きのライター。各地に伝わる伝説や民話、古くから地元で大切にされているモノを親しみやすく紹介したい|地元で人気の食堂やレトロな喫茶店巡り|”思わずクスッと笑ってしまうような”珍スポット探し|目標は個性的でヘンテコな旅本の出版|フォローして頂けたら嬉しいです。

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