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G大阪、柏、鹿島。Jリーグ各クラブで次々に発生する諸問題の病巣とは

杉山茂樹スポーツライター
(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

 1993年5月にスタートしたJリーグ。今月はちょうど30周年目に当たる。祝賀ムードに包まれた1ヶ月だった。しかし、開幕当時と現在を比較したとき、変化なし、進歩なしと嘆きたくなるものがいくつかある。この記念すべき1ヶ月間にもそれが深く関係する問題が起きた。

 前週、最下位に沈むガンバ大阪のサポーター連合という組織は、横浜F・マリノス戦(5月20日)を前に、試合中の集団的な応援をしないとの声明を出した。成績不振の責任を求めてクラブに抗議の姿勢を示したのだ。

 この原稿を書いている時点で15位に沈む柏レイソルも、ゴール裏席に陣取るサポーター数百人が0-1で敗れた横浜FC戦(5月13日)後、スタンドに居残りクラブ側に成績不振の説明を求めた。幹部スタッフがそこに現れ話し合いの場が持たれた。その4日後、クラブはネルシーニョ監督を解任。井原コーチを監督に昇格させた。

 4月には鹿島アントラーズでも事件が起きた。同月1日、サンフレッチェ広島に1-2で敗れ、2勝1分3敗。順位を13位に下げると、一部のサポーターが選手を乗せたチームバスを囲み、足止めにした。

 柏、鹿島で発生したような騒動は、Jリーグでこれまでに何度も起きている。そしてその都度、サポーターとクラブ関係者の間で話し合いの場がもたれてきた。ファンの騒動にクラブ側は律儀に対応してきた。驚くべき案件ではないように見える。しかし、たとえば本場欧州ではよくある話かと言われればノーだ。ありそうでなさそうな話とはこのことである。それはなぜか。

 この騒動を伝えるニュースに目を通せば、大半が意見、評論を含まない第3者の立場で、事実を伝えるだけの内容に終始していた。現場から遠く離れた東京のメディア、通信社系のメディアはともかく、地元メディアもそれと同じ姿勢でいるところにJリーグの好ましくない特異性を見る気がする。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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