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このチームの「9番打者」は3年前に47本塁打&MVPの27歳。よほど打線が強力なのか…

宇根夏樹ベースボール・ライター
コディ・ベリンジャー(ロサンゼルス・ドジャース)Oct 5, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ディビジョン・シリーズの第1戦に、コディ・ベリンジャー(ロサンゼルス・ドジャース)は「9番・センター」として出場した。

 ベリンジャーは、ブランドン・マーシュ(フィラデルフィア・フィリーズ)のような、打撃よりも守備が勝る選手ではない。メジャーリーグ1年目の2017年は、39本塁打とOPS.933を記録し、新人王に選ばれた。その2年後の2019年は、47本塁打とOPS.1.035。MVPを受賞した。現在の年齢は、27歳だ。

 ただ、ここ2年は、精彩を欠いている。昨シーズンは3度の故障者リスト入りもあり、95試合で10本塁打とOPS.542。今シーズンは144試合に出場しながら、19本塁打とOPS.654だ。四球率が下がって三振率は上昇。出塁率は.240と.265に過ぎない。今シーズンの8月以降は、9番打者としての出場が増えている。

 打撃だけがセールス・ポイントの選手であれば、おそらく、ラインナップから外されていただろう。ベリンジャーは、そうではない。主にライトを守った2019年は、ライトとセンターを合わせてDRS21を記録し、ゴールドグラブを手にした。また、2018~19年と今シーズンは、14盗塁以上を決めている。成功率も低くない。

 ベリンジャーが打てなくても、ドジャースの打線は強力だ。昨シーズンの237本塁打はリーグ3位、出塁率.330は2位、OPS.759は3位、830得点は1位。今シーズンも、212本塁打は3番目に多く、出塁率.333、OPS.775、847得点は、いずれもリーグ・トップに位置する。

 MVPに選ばれたことのある選手も、ベリンジャーだけではない。ムーキー・ベッツは、ボストン・レッドソックス時代の2018年に受賞。フレディ・フリーマンは、アトランタ・ブレーブス時代の2020年に選出されている(投手のクレイトン・カーショウも2014年にMVP)。ベッツとフリーマンの2人とも、今シーズン、2度目の受賞となってもおかしくない。

 ディビジョン・シリーズの第1戦で、ベリンジャーは3打数0安打、2三振に終わった。だが、昨年のポストシーズンは、打率.353(34打数12安打)、出塁率.436、1本塁打、7打点を記録している。価値ある一打も多く、ディビジョン・シリーズ第5戦は同点の9回表にタイムリー・ヒット、リーグ・チャンピオンシップ・シリーズ第3戦は3点を追う8回裏に3ラン本塁打。最後の試合となったリーグ・チャンピオンシップ・シリーズ第6戦も、1点ビハインドの4回表にタイムリー・ヒットを打った。

 ベリンジャーが打ち始めれば、その打順にかかわらず、ドジャースは2年ぶりのワールドシリーズ優勝にグッと近づくはずだ。

 なお、ディビジョン・シリーズの第2戦は、カーショウとダルビッシュ有(サンディエゴ・パドレス)が投げ合う。それについては、ダルビッシュ対ドジャースの各打者を含め、こちらで書いた。

「カーショウとダルビッシュが投げ合うのは3度目。ドジャースでダルビッシュをよく打っているのは…」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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