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リオを目指す日本代表を勝利に導く! ブラサカのゴール裏に注目

瀬長あすか障がい者スポーツライター/健康系編集ライター
韓国戦で勝利を決定づける追加点を挙げた川村(中央)と、駆け寄るガイドの藤井(左)(写真:伊藤真吾/アフロスポーツ)

「撃て、撃て!」

敵陣のゴール裏に立つガイド(コーラー)藤井潤の声が、日本に待望の得点を呼び込んだ。

アイマスクを着けてプレーする視覚障がい者サッカーのリオパラリンピック最終予選「IBSAブラインドサッカーアジア選手権2015」が国立代々木競技場フットサルコートで開催されている。アジア地区の2枠をかけた死闘。08年北京、12年ロンドン大会の出場権をあと一歩のところで逃している日本代表は、「20年東京大会の前に、自力でパラリンピック出場」を合言葉にチームの力を高め、決戦を迎えた。

リオパラリンピック出場に望みをつなぐ2得点

だが、現実は厳しく、日本は崖っぷちにいる。初戦で中国に0-1で敗れ、第2戦で宿敵イランにスコアレスドロー。予選の残り3試合すべてに勝ったとしても、魚住稿監督が2位以内の最低ラインとしていた勝ち点「11」には届かず、自力でリオ切符を獲得することができなくなった。

そんな中で迎えた韓国との一戦。前半16分に黒田智成が決めた美しいゴールは、初日から続いた日本チームの重苦しい空気を一掃するかのようだった。

待望の今大会初得点が生まれたのはFKから。黒田がボールを持つと、一度ドリブルで相手を右に揺さぶり、左に切り返して左足シュート。「ガイドの潤さんの指示が、壁が空いたところを狙えということだったので。思いきり振り切りました」と黒田は振り返った。

試合後、ガイドの藤井は、「4枚の壁があったので、始めから左にドリブルをせず、相手の壁を崩してから、重心を右に乗せたまま速いシュートを撃つ。(相手の壁となりシュートコースを作った)佐々木ロベルト泉の足の隙間から撃てればいいと思っていたので、それも狙い通りでした」と、会心の笑顔で語った。

そして、後半10分には黒田とともに得点を期待されていた川村怜が、GK佐藤からのスローを落ち着いて蹴り込み追加点。ガイドの藤井は右手を突き上げる川村のもとへダッシュし、抱き合って喜んだ。

かくして、日本は0-2で初白星。悲願のリオパラリンピック出場に望みをつないだ。

ガイドと選手のタイミングが命

ブラインドサッカーの選手たちは音や声、相手の息づかいで自分の位置をイメージしてプレーする。ガイドはゴールとの距離や角度を選手に伝え、そのガイドと選手の息がピタリと合ったときにゴールが生まれる。

ガイドが選手と喜びを分かち合う光景は、ブラインドサッカーの醍醐味のひとつだ。

だが、喜びを爆発させられるのはガイドだけではない。「観客」も選手らチームとの一体感を味わえる。プレー中は感嘆のため息も、賞賛の拍手や声援もぐっとこらえなければならないが、その分、静寂の後に訪れる歓喜の瞬間は、一度味わえば病みつきになるだろう。

日本代表の激闘は、7日まで続く。まだブラインドサッカーを見たことがない人は、ぜひ「ゴール裏」の興奮を体感してほしい。

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障がい者スポーツライター/健康系編集ライター

1980年、東京都江東区生まれ。大学時代に毎日新聞で記事を書き、記者活動を開始。2003年に見たブラインドサッカーに魅了され、2004年のアテネパラリンピックから本格的に障がい者スポーツ取材をスタート。以後、パラリンピックや世界選手権、国内のリーグ戦などに継続的に足を運び、そのスポーツとしての魅力を発信している。一方で、健康関連情報のエディター&ライターとして、フィットネスクラブの会報誌、健康雑誌などに携わる活動も。現場主義をモットーに、国内外の現場を駆け回っている。

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