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2022年のパラスポーツを振り返る“10大ニュース”

瀬長あすか障がい者スポーツライター/健康系編集ライター
3月に開催された北京パラリンピックでスピーチするアンドリュー・パーソンズ氏(写真:ロイター/アフロ)

2021年の東京パラリンピックから1年。新型コロナウイルス感染症流行により実施が見送られていたパラスポーツの大会も再開されるようになり、以前のように多くの大会が実施されている。この1年の印象的だった出来事をピックアップした。

■2月 アーチェリー上山友裕が世界一に

パラアーチェリー日本代表のエース上山友裕が「ドバイ2022世界パラアーチェリー選手権大会」(リカーブ男子個人)で優勝。初めて世界一に輝いた。

■3月 北京冬季パラリンピックで日本勢が活躍

日本代表選手団は、金4個を含む7個の金メダルを獲得。主将としてもチームを引っ張ったアルペンスキーの村岡桃佳は、金3個、銀1個の大活躍。クロスカントリースキーでも男子クラシカル20kmで川除大輝が金メダルを獲得した。

一方、大会は開幕直前の2月24日に始まったロシアによるウクライナ侵攻が影を落とした。3月4日に行われた開会式では、スピーチに立ったアンドリュー・パーソンズIPC会長が「Peace! 」と叫び、平和を訴えた。

■6月 パラ水泳世界選手権でメダルラッシュ

2年に1度行われる、パラ水泳の世界選手権「マデイラWPS世界選手権」で、日本代表チームは、木村敬一(100mバタフライ )、 鈴木孝幸(100m自由形)、小野智華子(100m背泳ぎ)、山口尚秀(100m平泳ぎ)が金メダルを獲得。日本記録も多数誕生した。

■7月 車いすテニスの国枝慎吾が「生涯ゴールデンスラム」を達成

テニスの全英(ウィンブルドン)選手権・車いすの部で、東京パラリンピック・男子シングルス金メダリストの国枝慎吾 が初優勝。四大大会で唯一手にしていなかったウィンブルドンのタイトルを手にし、「生涯グランドスラム」を達成。

四大大会すべてとパラリンピックで優勝した国枝は「生涯ゴールデンスラム」の快挙を成し遂げた。

■8月 パラサイクリング杉浦佳子が再び世界女王に

13日、カナダで開催された「2022パラサイクリング世界選手権・ロード」のロードレースで東京パラリンピック金メダリストの杉浦佳子が優勝を果たした。

■9月 デフリンピックの日本開催が決定

2025年に行われる夏季デフリンピックの開催地が東京に決定した。デフリンピックは聴覚障がいのあるアスリートによる4年に1度の国際大会で日本開催は初になる。

2022年5月に行われたブラジル大会で日本代表選手団は、水泳や陸上競技などで過去最高のメダル30個を獲得した(日本代表選手団は、新型コロナウイルス感染症の影響により、大会中に出場を辞退)。

■9月 車いすバスケットボール男子U23日本代表が初の世界一

タイ・プーケットで開催された車いすバスケットボールの男子U23(23歳以下)世界選手権で日本代表チームが初優勝した。同大会は、4年に1度開催される男子の世代別世界選手権大会。9月7日から10日間にわたって行われ、東京パラリンピック銀メダルメンバーの鳥海連志らも活躍した。

■10月 全国障害者スポーツ大会が4年ぶりに開催

10月29日から3日間、障害者スポーツの祭典「第22回全国障害者スポーツ大会」が栃木県で開催された。全国障害者スポーツ大会は、障がいのある人がスポーツを楽しんだり、国民が障がいに対する理解を深めたりして、障がいのある人たちの社会参加を推進させることを目的としており、例年、国民体育大会の後、同じ都市で開催されている。2022年の栃木大会は、台風や新型コロナウイルスなどの影響で実に4年ぶりの開催だった。

■11月 パラバドミントンの世界選手権で東京パラ金メダリストが躍動

日本初開催のパラバドミントン世界選手権で、東京パラリンピックの金メダリスト、里見紗李奈が女子シングルスで金メダルを獲得。山崎悠麻と組んだダブルスでも優勝し、二冠に輝いた。男子シングルスでは同じく東京パラリンピック金メダルの梶原大暉が金メダルを獲得した。

■12月 ボッチャの内田峻介が世界選手権初制覇

12月6日から 13 日まで、ブラジルのリオデジャネイロで開催されたボッチャの世界選手権で、BC4 男子の内田峻介が金メダルを獲得。ペア・チーム戦でもBC1-2 チームの銅メダルなど、全クラスで好成績を残した。

2023年はどうなる?

早くもパリ2024パラリンピックを1年後に控える2023年は、本来なら2022年に開催予定だったアジアパラ競技大会(中国・抗州)、陸上競技や水泳の世界選手権など国際大会が目白押しだ。日本国内でも車いすラグビーの「2023 WWR アジア・オセアニア チャンピオンシップ」(6月)、視覚障害者柔道の「IBSA柔道グランプリ東京大会」(12月)など数多くの国際大会が開催される。パリの予選も兼ねており、手に汗握る好ゲームが展開されるだろう。

ある意味、パラリンピックよりも厳しく激しいバトルが見られるに違いない。2023年はパラスポーツのニュースにぜひ注目してみて欲しい。

障がい者スポーツライター/健康系編集ライター

1980年、東京都江東区生まれ。大学時代に毎日新聞で記事を書き、記者活動を開始。2003年に見たブラインドサッカーに魅了され、2004年のアテネパラリンピックから本格的に障がい者スポーツ取材をスタート。以後、パラリンピックや世界選手権、国内のリーグ戦などに継続的に足を運び、そのスポーツとしての魅力を発信している。一方で、健康関連情報のエディター&ライターとして、フィットネスクラブの会報誌、健康雑誌などに携わる活動も。現場主義をモットーに、国内外の現場を駆け回っている。

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