夏インターン本格始動でマイナビが炎上したワケ…「#就活生にエールを 」キャンペーン
6月1日といえば、大手就職ナビサイトが「インターンシップサイト」を本オープンさせる日になっている。
新型コロナウイルスが終息しない中、今年もその日程は変更されることなく、本日からサマーインターンなどに向けた「就活」がスタートしている。
緊急事態宣言は解除され、22卒の学生が就活に向けて動き出すのは仕方がない部分もあるだろう。その一方、今年は21卒学生(大学4年生・修士1年生)の就活もコロナの影響を受け遅れ気味であり、まだ就活を継続している学生の割合は昨年度よりも多い。
そんな中で始まった大手サイトの宣伝合戦を目の当たりにし、悲観的になってしまった学生も多いようだ。
【21卒学生から不安の声、「#就活生にエールを」タグに集結】
大手就活サイトを運営する「マイナビ」は、インターン版サイトの本格始動を受け「#就活生にエールを」というハッシュタグを使用し、Twitterキャンペーンを展開している。
このハッシュタグはTwitterのプロモーション枠を使った広告でもあるが、トレンド一覧の画面から誰でも見ることができる。
ハッシュタグを見てみると、中には社会人や内定者が22卒学生向けにアドバイスしたと見られるツイートも散見される。しかしそれ以上に目立つのは、こうしたキャンペーンへの「怒り」だ。
怒りの声をあげているのは主に21卒の学生達、つまり現在進行系で就活を継続している当事者達だ。
「まだ就活が終わっていないのに、もう22卒に切り替えられた」
「4年生へのエールだと思ったら、3年生へのエールでガッカリした」
「21卒を見捨てないで」
「後輩にエールを送る余裕なんてない」
「まだ面接も受けたことがないのに」
…など怒りや不満を感じるポイントはそれぞれだが、いずれも就活を継続している学生からの声である。
傾向としてはやはりコロナの煽りを受けて就活が遅延している学生が多い。
逆に22卒の学生がこのハッシュタグに反応しているのはなかなか見つけられず、マイナビの意図に反して炎上していると言っても過言ではないだろう。
【売り手市場から一転、21卒学生は新型コロナで就活危機に】
ここ数年は就活生の売り手市場と言われ、早々に内定を取って就活を終える学生が多かった。
しかしリクルートキャリアの調査によれば、5月1日時点の21卒学生の内定率は45.7%。50%を超えていた前年同期より5.7ポイント低下してしまったという。
4月時点の調査では前年同期よりも高い数値であった事を考えると、大幅失速している事がわかる。
21卒学生の就活は大規模な就活イベントの大半が中止されており、企業側も学生との接点を持つ方法に苦心している。ウェブセミナーへの切り替え、選考もウェブ面接に切り替えるなど対応を進めている企業もあるが、当然ながら例年通りの採用活動は展開できていない。大学の就職課などもまだ活動再開できていなかったり、21卒学生の多くはそのような状況に苦労しながらも就活をしているのだ。
インターン時から就活を手早く進めていた学生はともかく、年明け以降に活動スタートした学生の中にはまだまともに就活できていない学生もいただろう。
そんな中、21卒学生への配慮が足りないプロモーション施策が展開されているのは非常に残念としか言いようがない。
21卒学生の立場になってみて考えてほしい。就活に苦労している中、ふとTwitterを見ると「#就活生にエールを」というハッシュタグがトレンド入りしているのだ。もちろん「自分たちに向けたエール」だと勘違いした学生も多かったのではないだろうか。
【22卒採用が始まっても、21卒採用は終わりではない】
誤解を恐れずに言えばこうした批判は毎年多かれ少なかれ耳にする批判であり、今年だけ特別なわけではない。しかし「コロナが終息していないのに」という文脈があるため例年以上にデリケートな問題になっているのが21卒・22卒の新卒採用だ。
採用ビジネスに関わっていた人間の1人として、今回のようなキャンペーンが展開されてしまうのは非常に残念なことだ。
しかし21卒の学生は過剰に心配しないでもらいたい。
22卒向け学生の就活情報が出回り始めても、それは必ずしも21卒採用の終わりを意味しない。
そもそもここ数年が売り手市場だっただけで、昔は大学3年生と4年生の就活時期が被るのもごくごく普通の風景だったのだ。
(だからこそ、今回のようなキャンペーンが軽率に実施されてしまったという背景もあるのかもしれない。)
「22卒の学生もこれから大変だが、今まだ大変な思いをしている21卒にこそエールを送りたい」という声もある。
緊急事態宣言が解除されたことで、これから採用を仕切り直して行こうと考えている企業もある。
決して見捨てられたわけではないのだから、就活を継続している21卒は諦めずに焦らずに頑張っていただきたい。