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何でも答えてくれる? AIと会話できる「ChatGPT」が話題

山口健太ITジャーナリスト
AIと会話できる「ChatGPT」の画面(筆者撮影)

米国のAI研究組織OpenAIによる会話形式のAI「ChatGPT」が、Twitterなどで大きな話題になっています。

どんな質問にも「それっぽい」答えを返してくれるのですが、中には珍回答もあるようです。どのような会話ができるのか、実際に試してみました。

AIと「それっぽい」会話を楽しめる

11月30日に研究用としてリリースされたChatGPTは、会話形式で文章を生成するAIです。「GPT-3.5」と呼ばれる言語モデルに基づいて作られています。

研究用のプレビュー期間中は無料で利用できるとのこと。実際に試してみるにはアカウント登録が必要で、電話番号を用いたSMS認証を求められます。

使い方は簡単で、日本語で話しかけるだけです。混雑しているときはエラーになることもありますが、たいていは数秒で答えが返ってきます。

日本語でAIと会話できる(ChatGPTの画面より、筆者作成)
日本語でAIと会話できる(ChatGPTの画面より、筆者作成)

そのまま次の文章を入力すると、文脈を引き継いだ状態で会話を続けることができます。

文脈を引き継いで会話を続けられる(ChatGPTの画面より、筆者作成)
文脈を引き継いで会話を続けられる(ChatGPTの画面より、筆者作成)

この例では、1週間で「何が」間に合うのか、AIは文脈を理解していることが分かります。

AIからの回答はしっかりした日本語になっているため、説得力があります。しかし内容については不正確なことも多く、さまざまな「珍回答」がSNSで話題になっています。

筆者が試したところでは、このAIは「一万円札」の存在を認めようとしませんでした。

一万円札という紙幣は存在しないと主張していた(ChatGPTの画面より、筆者作成)
一万円札という紙幣は存在しないと主張していた(ChatGPTの画面より、筆者作成)

しかしこのAIには、「間違いを認める」機能があるとのことです。そこで、さまざまな角度から「一万円札は存在する」ことを繰り返し伝えたところ、AIに理解させることができました。

間違いを指摘したところ、一万円札はあることを認めた(ChatGPTの画面より、筆者作成)
間違いを指摘したところ、一万円札はあることを認めた(ChatGPTの画面より、筆者作成)

このAIは、一万円札をどれくらい理解しているのでしょうか。そこでデザインについて聞いてみたところ、またしてもでたらめな回答が返ってきました。

一万円札のデザインについての説明が間違っている(ChatGPTの画面より、筆者作成)
一万円札のデザインについての説明が間違っている(ChatGPTの画面より、筆者作成)

これに対しては、AIの回答の中で間違っているところを1つずつ指摘していくことで、ようやく正しい情報を答えるようになりました。

一万円札についての正しい情報を教えた(ChatGPTの画面より、筆者作成)
一万円札についての正しい情報を教えた(ChatGPTの画面より、筆者作成)

ただ、AIが本当の意味で「理解」したわけではなさそうです。メニューから会話のスレッドをリセットし、新しく会話を始めたところ、一万円札についての情報は間違ったものに戻っていました。

公式の説明においても、このAIの制限事項として、「もっともらしく聞こえるが、意味のない回答を出すことがある」と認めています。決して全知全能というわけではありません。

もっともらしい回答を返してくるが、内容が正確とは限らない(ChatGPTの画面より、筆者作成)
もっともらしい回答を返してくるが、内容が正確とは限らない(ChatGPTの画面より、筆者作成)

もう1つ気になるのが、ユーザーからの悪影響を受ける恐れです。たとえば2016年にマイクロソフトが作ったAIボット「Tay」では、世界中から差別的な言葉などを教え込まれた結果、サービス中止に追い込まれたことがありました。

これに対してChatGPTは、不適切な要求を拒否することができると説明されています。実際に、有名な陰謀論やフェイクニュースをあの手この手で教え込もうとしたものの、完全に否定されました。

「実用」に耐えられるか

ほかにも、ChatGPTにはさまざまな文章を作成する能力があるようです。たとえば、テーマを指定して大学の課題レポートを書いてもらうことができました。

回答が長くなると文章が途切れることがありますが、その場合「続きは?」などと入力することで、続きを出力してもらえます。

テーマを指定してレポートを書いてもらった(ChatGPTの画面より、筆者作成)
テーマを指定してレポートを書いてもらった(ChatGPTの画面より、筆者作成)

内容を見ていくと、キャッシュレス化において「現金を使い続ける地域や人々が不利益を被ることがある」と指摘。それを防ぐ取り組みが必要というのは、なかなか鋭い視点といえます。

これをベースにして、本当にレポートが書けてしまいそうな気になりますが、あくまでAIの文章は「それっぽい」ものに過ぎないという点には注意が必要です。

内容が合っているかどうかは自分で判断する必要があります。むしろ、間違いがないかチェックするために、より高いリテラシーが求められる印象です。

実は、本記事を書くにあたって筆者も記事の構成を相談してみました。この質問に対しても、非常に「それっぽい」回答が返ってきました。

本記事の構成を相談してみた(ChatGPTの画面より、筆者作成)
本記事の構成を相談してみた(ChatGPTの画面より、筆者作成)

将来の展望はどうでしょうか。現時点ではいかにも研究用といった画面ですが、ここにキャラクターを表示させ、音声で読み上げる機能を使ってライブ配信のコメントに応答していくなど、さまざまな可能性を感じます。

このまま進化していけば、筆者のようなライターもAIに仕事を奪われてしまうのではないかと危機感を覚えます。

ただ、ChatGPTの回答によれば、現時点でそこまで心配する必要はなさそうです。

ライターの仕事について相談してみた(ChatGPTの画面より、筆者作成)
ライターの仕事について相談してみた(ChatGPTの画面より、筆者作成)

あるいは、筆者が不安に感じていることを察して、このAIは少し気を遣ってくれたのかもしれません。

ITジャーナリスト

(やまぐち けんた)1979年生まれ。10年間のプログラマー経験を経て、フリーランスのITジャーナリストとして2012年に独立。主な執筆媒体は日経クロステック(xTECH)、ASCII.jpなど。取材を兼ねて欧州方面によく出かけます。

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