暗号資産「持っているだけ」でポイント付与 メルカリの影響力に注目
2025年1月から、メルカリで暗号資産(イーサリアム)を保有していると毎月ポイントがもらえるサービスが始まります。
メルカリは暗号資産の市場に多数の新規ユーザーを呼び込んでいることから、暗号資産に「利息」を期待する動きが高まるかもしれません。
イーサリアムの保有で年3%のポイント還元
メルカリといえばフリマアプリが知られていますが、同じアプリから暗号資産の売買ができるサービスにも参入しており、口座数は2024年12月に300万を突破するなど存在感を高めています。
そのメルカリが新たに始める「無料ポイント定期付与サービス」は、暗号資産を持っているだけで毎月ポイントを付与するというもの。まずはイーサリアムが対象となっています。
申し込みは不要、ポイント還元率は年3.0%と発表しており、還元率は毎月変更される可能性があるとしています。
ポイントは日割で計算するとのことから、ポイントがつく直前にイーサリアムを買って、すぐに売るといった抜け道はなさそうです。
とはいえ、一般に暗号資産を持っているだけで利息がつくことはないことを考えれば、年3%のポイントがもらえるのは面白いサービスです。
ポイントの原資として、主に考えられるのが「ステーキング」の報酬です。サービスを提供するメルカリ子会社のメルコインは、イーサリアムの一定割合をステーキングすると説明しています。
イーサリアムはビットコインと異なり、取引を支える仕組みを「PoS」(プルーフ・オブ・ステーク)に移行しており、暗号資産を保有しているだけで報酬を得られます。
国内の暗号資産取引業者が提供するステーキングのサービスでは、イーサリアムの報酬はおおむね年3%台となっており、メルカリと似ています。
ただ、メルコインCEOの中村奎太氏によれば、このステーキングの報酬を直接還元しているわけではなく、メルカリのエコシステム全体の中で還元を実現しているとのことです。
このサービスでもらえるメルカリのポイントは有効期限が180日となっています。もらったポイントは、たとえ少額であっても、有効期限までに使いたくなるものです。
ポイントをもらった人がフリマなどで買い物をすればメルカリの経済圏の拡大に寄与することになることから、そうした影響を考慮しながらポイント付与率を決めていくと考えられます。
なお、イーサリアムは年3%を大きく上回る価格変動があるため、ポイントだけを目当てに投資するのは慎重になったほうがよいでしょう。
ここ1週間だけを見ても、1ETHの円建て価格は60万円台から40万円台まで、20%程度の値幅の中で変動しています。
すでにイーサリアムを持っている人にとってはポイントの分だけお得になるといえますが、これからイーサリアムへの投資を始める場合、ポイント以上に価格が下がって損をする恐れがある点には注意が必要です。
ポイントを毎月もらう - メルカリ スマホでかんたん フリマアプリ
メルカリのヘルプセンターに、サービスの詳細や税金についての説明が用意されている
新規ユーザーを呼び込むメルカリの影響力に注目
メルカリの暗号資産取引サービスの特徴として、口座を開設した人の86%は暗号資産の取引経験がないとしています。
単に口座数が急増しているだけでなく、暗号資産の市場に多くの新規ユーザーを呼び込んでいることでも、メルカリは注目の存在といえます。
そして今回、多くの人にとって馴染みがないと思われるステーキングについて、ポイント付与という分かりやすい形で導入したことは興味深い動きです。
暗号資産を保有する目的として、値上がりだけでなく、持っているだけで利益を得られる「インカムゲイン」に期待する人が増えることで、さまざまなサービスの需要を押し上げる可能性がありそうです。