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第1話:「育児・仕事・家庭」山積みタスク問題解決への第一歩「気付き」とは?

繁和泉看護師・予防医学士・薬機法管理者

40代も超えてくると、女性としての生き方にも色々なエピソードが盛りだくさんになってきますよね。「家庭」「子ども」「夫」「仕事」「部下」自分で責任を負わなくてはいけない事態も次々起き、尚且つ「自分ばっかりががまんしている」状態なんて日常茶飯事のはず…。

予防医学士として仕事をしていると、さまざまなプレッシャーに追われてカラダやココロ、時として周りの人とのキズナにも悪影響を及ぼして嘆いておられる方も目にします。

そんな方々は、「ココロ・カラダ・キズナ」いずれかの健幸が損なわれているのですが、どれか一つが脅かされると芋づる式に他の健幸も損なわれてしまう傾向に…。

近年WHOでも提唱されてた「ウェルビーイング(Well-being)」という状態は、社会的にも注目されている「人として全てが満たされた状態=健幸」であると言えるでしょう。

(参照:世界保健機関憲章前文 (日本WHO協会仮訳)|公益社団法人日本WHO協会)

「肉体的・精神的・社会的に満たされている状態」が継続的に続いていくことが「健幸」なのです。(健やかで幸せな状態は最良と考え、私はあえて「健幸」と表記しています)

さて、今回は、40代以降の年代に起こりがちな「家庭」「子ども」「夫」「仕事」「部下」などの悪影響により「ココロ・カラダ・キズナ」に悪影響を及ぼし「健幸」が損なわれつつある「田中美咲さん」の事例をもとに、ウェルビーイングを目指すためのファーストステップ「気付き」について解説します。

①ママ一人が頑張っている、よくある家庭の朝

朝の陽射しがカーテンの隙間から差し込む中、田中美咲はキッチンで慌ただしく動き回っています。トースターからパンが跳ね上がり、電子レンジがピーピーと鳴る。美咲は手早く朝食を準備し、テーブルに並べたいつもの光景。

「今日も一日が始まる…もう少し寝ていたかったけど、やることが山積みだ」と、美咲は心の中で呟くのでした。

リビングに元気よく駆け込んできたのは、長男の健太(10歳)と次女の彩花(7歳)だった。二人は椅子に座りながら、美咲に声をかけます。

「ママ、おはよう!今日の朝ごはんは何?」と健太が尋ねました。

「おはよう、健太。今日はトーストとオムレツよ。彩花も早く座ってね」と、美咲は答えます。

子供たちは元気よく朝食を食べ始めたが、美咲はキッチンでさらにお弁当を作り始めた。その時、夫の健一(42歳)が新聞を片手にリビングに現れました。

「おはよう、美咲。今日も忙しいみたいだね」と健一が言います。

「おはよう、健一。あなたも早く準備して。もうすぐ出かける時間よ」と美咲は促しました。

「そうだな。俺も支度しないと」と言いながら、健一は新聞を読みつつゆっくりとコーヒーを飲む...。その様子に美咲は心の中で溜息をつきつつ、家族のために動き続ける…。いつもの光景なのです。

美咲の内面分析

美咲の内面を分析すると…以下のような状態が想定できますね…

【疲労感とプレッシャー】

・美咲は朝からたくさんの家事をこなすことに疲れている。

・子供たちの元気な様子に少し救われる一方で、やるべきことが多く、プレッシャーを感じている。

【夫への不満と孤独】

・健一が新聞を読みながらゆっくりとコーヒーを飲む様子を見て、美咲は心の中で溜息をついている。

・「あなたも早く準備して。もうすぐ出かける時間よ」と健一に言うが、健一の行動には変化がない。

・美咲は家事を一人でこなし、夫の協力が得られないことに不満を感じている。

・家族のために動き続ける自分に対して、誰も助けてくれない孤独感を感じている。

【子供たちへの愛情と責任感】

・健太や彩花が元気に朝ごはんを食べる様子を見て、美咲は少し安堵している。

・子供たちのためにしっかりと朝食を用意し、お弁当を作らなければということに責任感を感じている。

カラダ:疲労感があるものの、無理をしていつものタスクを進めている
ココロ:不満はあるもののうまくアウトプットできていない
キズナ:美咲と夫のタスクの違いに信頼関係も揺らぎそうな気配

やっとのことで朝のタスクをこなして仕事に出かけた美咲。職場での美咲はどうなっているでしょうか?

②仕事の現場でのあるある

美咲は急いで家を出て、電車に乗り込み、会社に向かった。オフィスに到着すると、部下たちが既にデスクに座っていました。美咲は笑顔で挨拶をしたが、心の中では誰よりも遅くついてしまったことに焦りを感じていたのです。

「おはようございます、みんな。今日も一日頑張りましょう」と、美咲は明るく声をかけた。

部下の中村(35歳)が近づいてきました。

「おはようございます、課長。今日の会議の資料はもう準備できていますので、確認お願いします」と中村が言います。

「ありがとう、中村さん。あとで確認しますね」と美咲は答ました。

美咲はデスクに座り、山積みの仕事に取り掛かかりました。しかし、次々と部下からの相談や緊急のメールが入ってきて、作業が中断されてしまうのです。

「課長、この案件について相談したいことが…」と部下Aが話しかけてきます。

「課長、急ぎのメールが来ているので確認をお願いします」と部下Bが言うのです。

美咲は疲れた表情を隠しながらも、部下たちの要望に応じていした。しかし、プレッシャーとストレスは増すばかりだったのです。

職場での美咲の内面を分析

【焦りと不安】

・美咲は誰よりも遅くオフィスに到着してしまったことに焦りを感じている。

・挨拶をする際も、心の中で「遅れてしまった」ことによる部下の評価が気になる不安がある。

【責任感とプレッシャー】

・部下たちに「今日も一日頑張りましょう」と声をかける際、自分がリーダーとしての責任を感じている。

・部下からの要望に応じる度に、自分がチームを引っ張らなければならないというプレッシャーを感じる。

・家族や部下のために動き続ける自分に対して、誰も助けてくれない孤独感を感じている。

【疲労とストレス】

・部下たちの要望に応じる中で、次々と作業が中断されるため、仕事が進まないことに対するストレスを感じている。

・疲れた表情を隠しながらも対応しているが、心の中では疲労感が増している。

【感謝と苛立ち】

・部下の中村が会議の資料を準備してくれたことに感謝の気持ちを感じている。

・一方で、自分の仕事が次々と中断されることに対して苛立ちを感じている。

カラダ:家事と仕事の両立で疲労が蓄積している
ココロ:自分汚思うように業務が進められない
キズナ:うまくリーダーシップ発揮できているのか不安と焦りを感じている

仕事が終わって疲れ切っている様子がわかりますが、美咲は2児のママ。家に帰ってもまだまだ仕事は残されています…。

③ココロの充足を損なうと、いよいよカラダの健康とキズナまでも侵害する

夜、家に帰った美咲は、家事をこなしながらも疲労困憊。子供たちが宿題をしている間に、美咲は夕食の準備をしています。

「ママ、今日は学校でね…」と健太が話しかけてきましたが…。

「ごめんね、健太。ママ、今は忙しいから後で聞くね」と美咲は答えるしかなかったのです。

健一はリビングでテレビを見ながらくつろいでいました。

美咲は夫の無関心さにイライラしながらも、何も言えずにいるのです。

「私ばかりがこんなに頑張っているのに…なんで誰も助けてくれないんだろう…」と、美咲は心の中で呟く毎日。

夜遅くまで仕事を片付け子供たちを寝かしつけた後、やっとベッドに入る美咲。

しかし、頭の中は明日の予定や仕事のことで一杯で、なかなか眠れませんでした。

「どうしてこんなに疲れているのに、眠れないんだろう…」と、美咲は自問していました。

美咲はどう思っている?

【疲労とストレス】

・美咲は仕事と家事の両方で疲れ切っている。

・疲労困憊しているにも関わらず、家事をこなさなければならないことにストレスを感じている。

【罪悪感と無力感】

・健太の話を後回しにすることで、母親としての罪悪感を感じている。

・自分が家事に追われ、子供の話を聞く余裕がないことに無力感を感じている。

【イライラと孤独】

・健一が家事や子育てに関与しないことに対してイライラしている。

・自分ばかりが頑張っているという孤独感を強く感じている。

【不安と焦燥感】

夜遅くまで仕事を片付けても、明日の予定や仕事のことで頭が一杯で、眠れないことに不安を感じている。

疲れているのに眠れないことに対して焦燥感を抱いている。

眠らないとますます疲労が蓄積する焦りも実感している。

ココロ:旦那の存在そのものが美咲のココロに影を落とし始めている
カラダ:眠れない焦燥感、疲労回復できない実態
キズナ:子どもに寄り添えない罪悪感

美咲が家庭での負担と仕事の両立で徐々に心の健幸が損なわれてきていますね…。

美咲は仕事から帰宅し、疲労困憊している中でも家事をこなし続けています。

子供たちとの会話も満足にできず、母親としての責任を果たせないことに罪悪感と無力感を感じているのです。

夫の健一は家事や子育てに関与せず、自分だけが頑張っているという孤独感とイライラが募ります。

この状況で美咲は自分の感情を抑え込み、家族のために動き続けていますが、その代償として心の健康を損ないつつあります。

夜遅くまで仕事を片付けても、次の日の予定や仕事のことが頭から離れず、眠れないという不安と焦燥感に苛まれ心理的にも精神的にも限界に近い状態にあるにも関わらず、自分の健康を顧みる余裕がなくなってきているのがわかります。

④部下との衝突

翌日、オフィスでの美咲のイライラはピークに達していました。

部下の一人、佐藤(28歳)が遅刻してきたことに対して、美咲は普段以上に厳しく叱責したのです。

「佐藤さん、遅刻は許されません!もっと責任感を持ってください!」と美咲は強く言いました。

「申し訳ありません、課長…」と佐藤はうつむいて謝まりましたが、オフィスの雰囲気は一気に緊張感で包まれてしまったのです。

美咲の厳しい態度に、他の部下たちも怯えていました。

「課長、少し休んだ方がいいのでは…」と中村が心配そうに言います。

「大丈夫よ、中村さん。ただ、もっとみんなが協力してくれればいいんだけど…」と美咲は答えましたが、一方で自分が部下たちに対して厳しくしてしまっにもたこと気づいていました。

しかし、ストレスと疲れで冷静な判断ができなくなっていたのです。

いよいよココロが限界にきている様子の美咲。美咲の内面は?

【怒りと苛立ち】

・佐藤の遅刻に対して、過剰に怒りを爆発させてしまう。

・部下たちの協力が足りないと感じ、苛立ちを募らせている。

【焦りと罪悪感】

・部下たちが怯える様子を見て、焦りと罪悪感を感じている。

・自分が部下たちに対して厳しすぎることに気づきながらも、どうすることもできない無力感。

【疲労とストレス】

・心身ともに疲れている美咲は、ストレスがピークに達している。

・家庭や仕事のプレッシャーが積み重なり、感情のコントロールができない状態。

【孤独感と無力感】

・自分一人が頑張っているという孤独感を強く感じている。

・助けを求めることができず、無力感に苛まれている。

ココロ:いよいよキャパシティも限界に。いつも以上にイライラが募る
カラダ:疲労感はピークに。しかし原因には家庭の要素もある
キズナ:家庭が要因の疲労感により会社でのキズナに影響が出てしまった

ココロのバランスがうまくいかなくなったことで、いよいよキズナにも悪影響が出始めています。さて、体は大丈夫なのでしょうか?

⑤健康診断の結果

その日の午後、美咲は健康診断の結果を受け取り、驚くべき事実を知ることになるのです。

医師からの申告でで、美咲の健康状態にいくつかのリスクがあることが告げられました。

「田中さん、あなたの健康診断の結果ですが、いくつか注意が必要な点があります。血圧が高く、コレステロール値も上がっています。このままでは将来的に心臓病のリスクが高まる可能性があります」「食生活は大丈夫ですか?」と医師の話がありました。

「そんな…私は家族のために、仕事のために頑張っているだけなのに…」と美咲はショックを隠せずにはいられません。

その夜、美咲はベッドで一人考えました。

自分の健康、家族との関係、そして職場での部下との関係すべてがうまくいっていないことを痛感していたのです。

「このままでは私自身も家族も壊れてしまう…何か変えなければ…」と美咲は心の中で決意を固めました。

ついに体にも影響が出始めた美咲…この時美咲は??

【ショックと不安】

・健康を害してしまっているという現実により不安と恐怖を感じている

・家族のために働いているつもりが、その代償として自分の健康が損なわれている

【自己犠牲と責任感】

・自分の健康状態を考えると同時に、家族や職場での責任を感じている

・自己犠牲を重ねてきたことに対しても、一種の後悔と自責の念を抱いた

【決意】

・このままでは家族や自分自身が壊れてしまう

カラダ:目に見えてわかる、体への影響が出た
ココロ:ついに体にも影響が!ショック!
キズナ:家族との関係性、職場での立ち居振る舞いにも後悔

「ココロ・カラダ・キズナ」のどれか一つでも健幸を損なうと全てに影響が出ることに気づく

いよいよ「ココロ・カラダ・キズナ」全てに影響が出始めた美咲。ココロやキズナの異変は見えにくいのですが「カラダ」の健康損失は目に見え、わかりやすいものではあります。

カラダの健康状態を示す数値が出て、始めて美咲は「異変」に気が付いたのです。

実はウェルビーイングに至るには、この「気付き」が大事!

気が付くことこそが最初の一歩!

美咲の事例は、いつでも誰にでも起こりうるものです。

気が付かなくては何も始まりません。しかし、現実問題「忙しさ」や「認めたくない」などの様々な事情があり「気付こうとしない」人が大半なのです。

だからこそ、誰にでも「健幸」に至る道のりは用意されていますし、早く気が付くほどその問題を解決する道のりは容易になります!

さて美咲はこの先、どのようにウェルビーイングを追求していくのでしょうか?

揺らぎ始めた「ココロ・カラダ・キズナ」のバランスはどうなるのでしょうか?

第2話につづく

看護師・予防医学士・薬機法管理者

【医療・美容・健康・ヘルスケア・子育てに関するリアルな情報を発信】兄妹の子育てをしながら働くワーママ。保有資格を活かしながら実際の現場で得た自身の知識や経験をもとに「誇大表現にならないリアルな情報をユーザーに届け、ユーザーが自分にとって適切な判断ができる」情報発信を追求。Well-beingな社会を目指す。

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