『光る君へ』に登場する紫式部・清少納言・藤原道綱母(藤原寧子)の代表作品をかんたんに紹介
NHK大河ドラマ『光る君へ』が舞台の平安時代中期は、多くの女流作家が誕生して作品を残しています。ドラマの中だけでも紫式部・清少納言・藤原道綱母が登場し、彼女らの作品の再現やオマージュがされていました。
そこで今回は、この3人の作品を簡単に紹介していきます。
清少納言『枕草子』
枕草子は中宮定子に仕えた清少納言によって書かれた随筆です。
- 随想的章段(ずいそうてきしょうだん)
- 類聚的章段(るいじゅうてきしょうだん)
- 日記的章段(にっきてきしょうだん)
に分類されており(順不同)有名な『春はあけぼのようようしろくなりゆく…』の文章は、清少納言が感じた風情を表した随想的章段に分類されるそうです。
類聚的章段では彼女がテーマに沿った事柄を独自の視点で書き綴っており、日記的章段では中宮定子に仕えた7年間が日記調に書かれています。
香炉峰の雪のエピソード『雪のいと高う降りたるを』やききょうと定子の初対面でのエピソードを描いた『宮に初めてまいりたる頃』は、光る君へで再現されていました。『春はあけぼの』などは学校で習うことも多く、作品自体の文章も短くまとまっているので読みやすいので、古典文化学に興味ある人は枕草子から始めてみるのも良いでしょう。
藤原道綱・母『蜻蛉日記』
藤原兼家が頼み込んで妾となったのが藤原道綱母(光る君へでは藤原寧子)です。和歌・教養に優れ、絶世の美女とも言われた彼女は兼家全盛期を支えながらも、正妻になれない苦悩や葛藤と庶子である道綱の成長を見守る母としての日記が記されています。
『嘆きつつ一人ぬるよの明くるまはいかに久しきものとかは知る』は百人一首の有名な歌で、兼家が約束を守らず訪問が遅れたときに、この和歌を突きつけて追い出しています。そんな情熱的な女性だった道綱母は、兼家から満たされない愛情を息子に詰め込んでおり蜻蛉日記にもつづられています。
紫式部『源氏物語』
世界最古の長編小説で全五十四巻あり、その文字数は約100万字と言われています。私の書いている記事が大体1000~2000文字前後で書いていることから、その500倍以上と考えるとすごい数字です。
物語は3部構成になっており、光源氏の一生とその後の時代が描かれています。
第一部では光源氏の女性遍歴を中心にその成功までの道のりになります。二部では栄華を極めた光源氏の没落と最後が描かれています。そして、その後の光源氏の息子・薫の時代が訪れ、その人間模様が書かれているのが第三部となります。
他にも『紫式部日記』を書いており、紫式部が中宮に上がった際のその様子が日記として書かれています。日記としての特性上、彼女の考え方や性格、当時の貴族たちの暮らしぶりが伺える史料とも言えるでしょう。有名な清少納言をディスった文章が書かれているのもこの日記です。
個人的には源氏物語より紫式部日記をまひろ(吉高由里子)に変換して読んでみると面白いと思います。最近ではたくさんの書籍があるので書店やアマゾンなどで探してみてはどうでしょうか?