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台風5号発生 北日本も台風と前線の危険な組合わせ

饒村曜気象予報士
北日本に停滞する前線上を次々に通過する低気圧の雲(8月9日3時)

台風5号が発生

 台風5号(アジア名は「チャンミー」)が、9日(日)午前3時に沖縄の南海上で発生しました。

 台風5号は、9日午後には沖縄本島にかなり接近する見込みですので、沖縄では雨や雷雨となり、風が強く吹いて波が高くなる見込みです。

 大雨による土砂災害や河川の増水、強風、高波に十分注意してください(図1)。

図1 台風5号の進路予報(8月9日3時)
図1 台風5号の進路予報(8月9日3時)

 台風の進路予報は、最新のものをお使いください。

 台風5号は、沖縄本島付近を通過したあとは発達しながら東シナ海を北上し、対馬海峡付近を通って日本海に入り、11日未明には温帯低気圧に変わる見込です。

 沖縄近海の海面水温は、台風が発達する目安となる27度より高いのですが、台風5号の渦の巻き方が弱く、急速に発達して暴風域(最大風速が毎秒25メートル以上の範囲)を持つことはないと思われます。

 しかし、台風は台風です。

 油断できません。

東北地方の雨

 暦の上で秋が始まる立秋(8月7日)が過ぎましたが、それまでに東北北部は梅雨明けとはなりませんでした。

 気象庁では、概ね立秋までに梅雨明けがないと、その年は「特定できない」としていますが、東北北部は比較的多く、約10年に1回の現象です

 東北北部は立秋が過ぎて梅雨明けを特定しませんが、前線が停滞しています(タイトル画像参照)。

 そして、その前線上を低気圧が次々に通過しますので、8月9日(日)は、北陸や東北では雨が降り、雷を伴って激しく降る所もある見込みです。

 気象庁が発表している早期警戒情報では、8月9日の日中に大雨警報を発表する可能性が「高」なのは、青森、秋田、新潟、石川の各県で、9日の夜から10日の明け方までに大雨警報を発表する可能性が「高」なのは新潟県です(図2)。

図2 早期注意情報
図2 早期注意情報

 その他、東北地方から北陸地方では、現時点では「中」のところもありますので、土砂災害等に十分警戒してください。

 さらに、台風5号は真夏の台風に多い、速度が遅い台風ではありません。

 東日本から西日本に猛暑をもたらしている太平洋高気圧の縁辺をまわるように、比較的速い速度で北上する予報の台風です(図3)。

図3 予想天気図(8月10日21時の予想)
図3 予想天気図(8月10日21時の予想)

 10日の夜には、朝鮮半島南部まで達する予報ですが、予報円が比較的小さく、信頼度が高い予報です。

 台風5号の北上に伴って、前線も北上しますが、北日本は「台風と前線の危険な組合わせ」となります。

 前線上を低気圧が次々に通過しているところへの台風接近です。

 台風の進路や前線の北上具合によっては、非常に危険な状態になる可能性があります。

 最新の気象情報の入手に努め、警戒してください。

熱中症にも警戒

 8月9日は、北陸や東北地方の低気圧による雨、沖縄地方の台風5号による雨や風の警戒が必要な日曜日となっています。

 その他の地方では、局地的に雨が降る所もありますが、概ね晴れて暑くなって、熱中症に警戒が必要な日曜日となります。

 千葉県と山梨県には、熱中症警戒アラートも発表されています。

 全国の最高気温の予報では、東日本で平年より高い他は平年並みの所が多い予想ですが、真夏の平年並みです。

図4 8月9日の予想最高気温
図4 8月9日の予想最高気温

 最高気温が35度以上の猛暑日、あるいは、最高気温が30度以上の真夏日となる所も多くなっています(図4)。

 周囲をみて、こまめにマスクをはずしたり、水分補給をするなど、熱中症対策が必要です。

タイトル画像、図1、図2、図4の出典:ウェザーマップ提供。

図3の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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