暑い「小春日和」と南の海の4つの台風 注意すべきはフィリピンの東で発生の台風25号!
小春日和
令和6年(2024年)11月11日は、大陸から高気圧が張り出してきたため、南西諸島や東北で雲が多かったほかは晴れて気温が高くなりました。
全国で一番気温が高かったのは沖縄県・旧東の29.8度で、最高気温が30度以上の真夏日はありませんでしたが、全国の36地点(気温を観測している913地点の約4パーセント)で最高気温が25度以上の夏日となりました。
一方、放射冷却で明け方の気温が下がったことで、最低気温が0度未満の冬日は85地点(約9パーセント)もありました。
令和6年(2024年)は記録的な暑さが続いていましたが、さすがに10月下旬ともなると、夏日が大きく減り、11月になると冬日が増え始めました(図2)。
とはいえ、すでに11月中旬です。この時季になって、ようやく冬日の観測地点数が夏日の観測地点数を上回るようになってきました。
晩秋から初冬にかけて(陰暦の10月頃)、寒さに向かっている季節の中で、穏やかで温かい日のことを「小春日和」といいます。
ただ、今年は、最高気温は平年より高い20度前後の気温となっている所が多くなっていますので、例年より暑い「小春日和」となっています。
陰暦の10月を指した「小春」という言葉からきた「小春日和」ですが、近年は、寒さの厳しい1月~2月に訪れる暖かな日についても「小春日和」という言葉が使われるようになっています。
「小(こ)」には、物事の量や程度の大きさを表す使い方があり、「小石」「小雨」「小江戸」などの使い方がありますので、「春ではないが春のような気候」という意味で使えば、正解なのかもしれません。
日本列島は秋本番になってきましたが、低緯度の海域には台風や熱帯低気圧が並んでおり、真夏の様相です。
南シナ海の台風22号と23号
低緯度には、台風22号、23号、24号の3つの台風と、台風に発達しそうな熱帯低気圧(熱低d)が並んでいます(図3)
このうち、台風22号は南シナ海を西進してベトナムへ向かって進んでいますが、台風進路の海域は、海面水温が台風発生・発達の目安となる27度以下ですので、次第に勢力を弱める見込みです(図4)。
また、台風23号も南シナ海を西進して海面水温が27度以下の海域に進み、弱まる見込みですので、日本への直接の影響はなさそうです。
台風25号に注意
トラック諸島近海を西進中の台風24号は、今後も西進しながら発達する見込みですが、日本からまだ離れています。
問題は、フィリピンの東の台風25号に発達するかもしれない熱帯低気圧(熱低d)です(図5)。
台風24号と台風25号になるかもしれない熱帯低気圧は、ともに海面水温が27度以上の暖かい海域を西進する見込みですので、暴風域を伴う強い台風に発達する見込みです。
そして、台風25号に発達した熱帯低気圧は、今週末に沖縄県先島諸島に接近する見込みです。
【追記(11月12日8時30分)】
フィリピンの東の熱帯低気圧は、11月12日3時に台風25号に発達したと気象庁が発表しました。新しい台風の進路予報では、台風25号の暴風警戒域が沖縄県先島諸島にかかっています。
日本の南海上では、台風が4個並びましたが、真夏でも珍しい現象ですが、季節が進んでいる11月では、極めて珍しい現象です。
資料は少し古くなりますが、以前に、昭和26年(1951年)から昭和52年(1977年)の資料を用いて、台風について調べたことがあります。
これによると、11月の台風は、低緯度を西進する台風がほとんどです(図6)。
ただ、まれには、北上して日本の東を東進するものがありますので油断できません。
ちなみに、一番遅い上陸台風は、平成2年(1990年)11月22日9時にグアム島の南海上で発生したあと西進しながら発達し、フィリピンの東海上で向きを北東に変え北上した台風28号です(図7)。
フィリピンの東の熱帯低気圧の情報には注意し、警戒してください。
図1、図3、図4、図5の出典:ウェザーマップ提供。
図2の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。
図6の出典:饒村曜・宮沢清治(昭和55年(1980年))、台風に関する諸統計、研究時報、気象庁。
図7の出典:気象庁ホームページ。