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沖縄・奄美で大雨特別警報や記録的短時間大雨情報 11月でも記録的に猛烈な雨が局地的に降ることがある

饒村曜気象予報士
南西諸島で記録的短時間大雨情報を発表した時の解析雨量(11月10日8時30分)

南西諸島の記録的短時間大雨情報

 令和6年(2024年)11月8日~10日の南西諸島は、下層に暖かくて湿った空気が入ったため大気が不安定となり、局地的に大雨が降ったことから、20回もの記録的短時間大雨情報が発表となりました(表1)。

表1 令和6年(2024年)11月8日~10日の南西諸島の記録的短時間大雨情報
表1 令和6年(2024年)11月8日~10日の南西諸島の記録的短時間大雨情報

 鹿児島県与論島では、11月7日から10日の4日間で666ミリも降り、一時、大雨特別警報が発表となりました。

 ただ、強い雨が降ったのは、鹿児島県の与論島から沖縄本島北部までの狭い範囲です(図1、タイトル画像)。

図1 96時間降水量(11月7日~10日)
図1 96時間降水量(11月7日~10日)

 11月になっていますが、11月でも、狭い範囲であれば猛烈な雨が降るという一例となりました。

記録的な雨の原因

 日本は世界的にみても降水量の多い国です。日本の降水現象の3本柱をあげると、梅雨期の雨、台風による雨、冬の季節風による雪ということになります。したがって、これらの影響の少ない瀬戸内海沿岸、中部地方の内陸部および北海道では、年降水量が少なくなっています。

 日本の降水現象の3本柱のうち台風による雨は、記録的な強い降り方をするために,大きな災害に結びつきやすいと言われています。

表2 日降水量のランキング(各地点の観測史上1位の値を使って作成)
表2 日降水量のランキング(各地点の観測史上1位の値を使って作成)

 表2は、日降水量の10位までの多い記録ですが、このうち8つまでが台風によるものです。

 なお、東京の24時間降水量の記録は、昭和33年(1958年)9月26日の392.5ミリで狩野川台風によって、また大阪の24時間降水量の記録は昭和32年(1957年)6月26日の250.7ミリで、台風第5号が梅雨前線を刺激したためで、ともに台風が原因となっています。

 日降水量ではなく、1時間降水量といった短い時間の雨量となると、ほとんどが低気圧や前線によるものとなります。さらに10分間降水量となると、大気不安定による雷雨によるものが多くなりますので、夏以外でも発生します(表3)。

表3 最大1時間水量と最大10分間降水量のランキング(各地点の観測史上1位の値を使って作成)
表3 最大1時間水量と最大10分間降水量のランキング(各地点の観測史上1位の値を使って作成)

 令和3年(2021年)11月2日の北海道は、強い寒気が南下し、津軽海峡の西海上には上空寒気を示す小さな低気圧がほぼ停滞していました(図2)。

図2 地上天気図(2021年11月2日12時)
図2 地上天気図(2021年11月2日12時)

 このため、大気が非常に不安定となり、道南地方を中心に大雨となり、木古内町では13時34分までの1時間に136.5ミリという猛烈な雨が降り、北海道としての最多記録を作っています。

 それどころか、12時58分までの10分間に55.0ミリという日本最多記録まで作っています。この大雨の影響で、木古内町の道道が川から流れてきた土砂によって通行止めになり、北海道新幹線は上下線17本が運休しています。

 1時間とか10分間とかの短い時間の強雨は、狭い地域で、しかも限られた時間しか降らないということが多いのですが、特定の地域、特定の季節に限らず発生しています。

 北海道など普段は雨が少ない地方でも、初冬の11月など寒くなっている季節であっても猛烈な雨には注意が必要です。

タイトル画像、図1の出典:ウェザーマップ提供。

図2、表2、表3の出典:気象庁ホームページ。

表1の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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