地球の自転が急加速中!今年6/29は1日が最も短かったと判明
どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。
今回は「地球の一日の長さの最短記録を更に更新」というテーマで動画をお送りしていきます。
近年、地球の自転周期が短くなっていることがわかっています。
そんな中2022年6月29日は観測史上最も短い一日であったと判明しました。
●長期では地球の自転は遅くなる
地球は約24時間で1回転する速さで自転していますが、実は自転速度は長期的に見ると遅くなり、1日が長くなっていることが知られています。
その原因は月からの引力による「潮汐摩擦」という現象です。
月の引力によって地球の海が持ち上げられ、潮の満ち引きが起こると、海水と海底の摩擦によって地球の自転が徐々に減速します。
一般的に衛星の公転周期が惑星の自転周期より短いときは衛星が惑星に近付いていき、惑星の自転が加速します。
身近な例でいえば、火星とフォボスの関係が当てはまります。
火星の自転周期が24時間37分なのに対し、フォボスの公転周期は7時間39分しかありません。
最終的にフォボスは火星に近付きすぎて砕かれてしまうと考えられています。
一方月の公転は地球の自転より遅いため、月は徐々に遠ざかり長期的には地球の自転速度は徐々に減速していることが知られています。
最近月は地球から毎年平均約3.8cmのペースで遠ざかっていて、今後100年間で地球の自転周期は2ミリ秒(1ミリ秒=0.001秒)遅くなると予測されています。
このペースで減速が続くと仮定すると地球の自転周期は5万年で1秒、1.8億年で1時間長くなる計算になります。
あくまで地球の自転速度が減速するペースが一定であるという仮定のもとなので、実際のところこのペースが続くかは不明ですが、1日が25時間になったら生活リズムが狂いそうです…
逆に言えば、大昔に月がさらに地球から近かった時は、地球は自転速度が非常に速かったことが考えられます。
月が形成されて間もない頃は地球の自転周期はたったの5時間程度だったようです。
当時の月は地球からわずか2.4万kmしか離れていなかったとか…現在の地球と月との平均距離は約38万kmなので、いかに昔の月が近かったかがわかります。
●近年自転速度が加速している?
先述の通り数百万年、数億年という超長期のスパンで言えば地球の自転は減速傾向にあるのですが、実は短期的に見るとそうとも言えないようです。
上記の画像は近年の地球の自転周期が、100年前に求められた自転周期の基準値と比べてどれほど変化しているのかを示したグラフです。
±0msより大きければ自転周期が100年前の基準値より長く、小さければ自転周期が100年前の基準値より短いことを示しています。
潮汐摩擦による長期的な影響的には現在はおよそ+2msの辺りに分布している予想だったはずが、実際は長期的には徐々に自転周期が短くなっています。
このような短期的な自転周期の変動の原因としては、地球の中心核の運動の変化や、地球規模の水の分布の変化、さらには大気変動など、様々な要因が考えられていますが、どれが原因なのか明確にするのは困難なようです。
とはいえ依然として+の値が続いているため、100年前の自転周期を基準として制定された時刻から徐々に時差が生じてしまいます。
例えば+2msだけ長い自転周期が500日間続くと、その時差はちょうど1秒になります。
その調整のため、1972年から何年かに一度「うるう秒」が導入されています。
うるう秒が導入されると59分60秒という時間が1秒だけ現れます。
うるう秒はこれまでに27回導入されています。
●2020年から自転加速傾向が続く
このように近年は長期の見立てと異なり、自転周期が減少傾向にありましたが、2020年からは特にその傾向が顕著です。
2020年以前の自転周期の最短記録が100年前の基準値に対して-1.11msだったのが、2020年ではその記録を実に28回も破ったのだとか…
2020年の1年間での1日の長さの平均は100年前の基準値に対して-0.00428msで、これは現在の基準での観測が始まった1962年以降で最短記録でした。
さらに2021年は1年間を通じて1日が短い水準にあり、1日の長さの平均は100年前の基準値に対して-0.179msでした。
これは観測史上最も1日の平均が短かった2020年の平均値よりさらに大幅に短い記録となっています。
そして2022年はそれ以上に1日が短い傾向にあります。
2022年の8/16までの1日の長さの平均は、100年前の基準値に対して-0.365msとなっています。
2021年の平均値よりさらに大幅に短い記録です。
このまま行けば、1日の長さの最短記録を2020年から3年連続で塗り替える可能性が高そうです。
中でも今年6月29日は観測史上最も短い1日で、基準値に対して-1.59msでした。
もちろん1000分の数秒程度自転が速くなったところで日常に支障が出ることはないのですが、もしかすると今後100年前の基準値と比べて-の方向に下振れることが増えれば、逆に1秒減らす方向にうるう秒を導入する必要も出てきそうです。
地球の自転速度がこれほど加速している原因ははっきりとわかっていないので予測は難しいのですが、一過性の加速に過ぎず今後元に戻るのか、あるいはさらに加速が進んで行くのか…
しばらくは1日の長さにも注目です。