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むせ返ってしまうのは恥ずかしいことではないです

めぐねこ介護頑張る栄養士/ライター

すっかり秋めいてきましたね。

「食欲の秋だからついつい食べ過ぎてしまう」そんなことありませんか?

わが家の介護メンズの食欲も「食欲の秋だから、たくさん食べたい」なんて理由をつけて色々な料理を食べています。食欲がある事は良い事なのですが「落ち着いて食べないでムセを起こして激しい咳が止まらない」なんていうことも起こります。あまりに激しい咳に驚いてしまうこともしばしば。介護をされている方で、同じような経験をされている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

「なぜ激しい咳を起こすのか?」それは本来は食道から胃へ入るはずの飲食物が、のどを通過するときに誤って気管に入ってしまうからです。これを 誤嚥(ごえん)といい、ムセと呼ばれる激しい咳き込みが起こります。これは気管内に入った飲食物を押し返すためのとても重要な防御反射なので咳をすることは決して悪いことではありません。むしろ、食べたものを食道へ流すための大切な動きなので安心してください。むしろ、咳こまないで食べたものが気管に入ってしまう方が大変です。誤嚥性(ごえんせい)肺炎を起こしてしまうからです。

なので、食べている方が激しい咳をしてしまっても、決して驚かず普通に様子をみます。私は介護メンズが咳こんでいても、まずは様子をみます。そして「咳がでることは、食べたものがきちんと食道に運ばれるので悪いことではない。むしろ正常の動きだから、何か違和感があったら咳を出してほしい」と伝えます。

どうしても咳をする方は「なんで咳こんでしまうんだ。恥ずかしい。」と思ってしまうようですが決して否定せず落ち着いて見守ってください。あまりにも収まらないようでしたら、そこで#7119に病院に連れて行くべきか、救急車を呼ぶべきか相談すればよいだけですし、訪問看護さんやかかりつけの先生に相談して対処を伺えば大丈夫です。

症状が落ち着いて話を聞ける状態になったら、「どの料理が喉にひっかかったか?」と聞いて下さい。そこで、使われている食材で原因となったと思われる食材についてはしばらく料理に使用しない等、様子をみてください。その時の体調によってもムセに繋がる食材が違うので、「今日は食べられなかったけど、しばらく時間を置いたら食べれた」ということがあります。「食事の楽しみ」を最期まで出来る限り楽しんでほしいと思いますので、使える食材を最初から決めつけるのではなく、体調や調理の仕方でたくさんのものを食べて頂きたいです。

ちなみに、わが家の介護メンズは「ひき肉はパサつくから苦手」と言っていたので避けていたら「卵でとじて丼風」にアレンジしたり「ドライカレー少し水分多めで」作ると食べれたりとアレンジ次第で食べられます。もちろん体調によってはひき肉はNGですが。

他にもキャベツは芯の部分や葉の部分はひらひらして食べずらいというので、芯の硬い部分を取り除いて、柔らかく下茹でしてから調理をすると焼きそばやポトフとして美味しく食べています。

最期まで口から食べられるということはとても幸せなことです。ムセを怖がって食べないというこは少し残念な気がします。一工夫で食べてくれるなら、作り甲斐もでてきます。食べる人も作る人も「激しい咳こみ」を恐れず食事を楽しんでください。そのために正しい知識を頭の片隅に入れておくことも食事を食べる人も食べる人にとっても大事なことです。

※食べる方の「かむ力」「飲み込む力」には個人差があります。少しでも不安がある場合は、かかりつけの医師や訪問看護さん、ケアマネージャーさんなど気軽にご相談してくださいね。またペースト食やとろみがついた食事を食べている方は誤嚥(ごえん)のリスクもあがりますので、かかりつけの医師や訪問看護さん等医療関係者に必ずご相談してくださいね。

介護頑張る栄養士/ライター

栄養士。家族の介護をきっかけにスーパーやコンビニで手軽に買える食品で介護食を作っています。むずかしいと思われる介護食を美味しく、簡単に、お金をかけずにをモットーに作っています。また自分の経験をもとにライター活動もしています。

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