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46年ぶり!!満月のハロウィン

森田正光気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ会長
(写真:REX/アフロ)

 今月31日はハロウィンです。ハロウィンの由来は、ギリシア神話の嵐を支配する女神・ヘカテーの怒りをなだめるためだとか、古代ヨーロッパに住んでいたケルト人の祭りが起源だとか諸説ありますが、10月のこの時期に行われるのは明らかに収穫祭の意味合いがあったと思われます。その象徴がジャック・オー・ランタンでしょう。ヨーロッパでは、カボチャでは無くカブをくりぬいて作られていましたが、その文化がアメリカへ伝わると、カブの代わりに多く収穫されていたカボチャで作るようになったともいわれています。また、この季節は北半球では冬の始まりであり、厳しい冬を乗り越えるための「決意表明」のような性格もあって、西洋では多少、羽目を外すことも許されるような伝統が残っているように見受けられます。

今年のハロウィンは満月

今年、中秋の名月(スタッフ撮影)
今年、中秋の名月(スタッフ撮影)

 満月は一か月に一回か二回は必ずやってきますから、10月31日に満月が重なったとしても、とりたてて珍しくないようにも思えます。ところが実は、ハロウィンの日が満月になるのは1974年以来、46年ぶりのことです。

 地球を回る月の軌道というのは完全な円形ではなく微妙にズレているので、年によってバラつきがあります。したがって、同じ月の形が特定の日に現れるのは、なんと約19年に一回の出来事です。このことは今から約2450年前に、ギリシア(アテナイ※首都アテネの古名)の天文学者メトンが発見したことから「メトン周期」と呼ばれています。さらに日界(午前0時)の前に満月を迎えるなどの条件を加えると、今回は1974年以来のハロウィン満月という事になるのです。

 

 では実際に、ハロウィンと満月が重なった日を見てみましょう。

出典 国立天文台、こよみのページ 著者作成
出典 国立天文台、こよみのページ 著者作成

 表のように、過去200年ほどさかのぼっても10月31日と満月が重なったのは、今年も含めて5回しかありません。また、次回は38年後の2058年なので、かなり珍しい現象と言えるでしょう。

お月見ハロウィン

 日本では古来、月を愛でる文化がありました。

 「名月を取ってくれろと泣く子かな」と江戸時代の俳人小林一茶は詠み、竹取物語ではかぐや姫の故郷とされ、「月見酒」「月見団子」「月見そば」など、月にまつわる言葉は数知れず。かの有名な夏目漱石は「I love you」を「月がきれいですね」と訳したとの逸話もあるほどです。(俗説で信憑性は低いですが)

 一方でハロウィンは1990年以降、テーマパークでのイベントをきっかけに、日本でも瞬く間に広がりました。今ではその経済効果はクリスマスに次ぐともいわれ、秋の一大イベントと言えるでしょう。

 前回10月31日が満月になったのは1974年。その時にはまだハロウィンは日本人のほとんどが知りませんでした。そういったことを考えると、今年のハロウィンは日本の月を愛でる文化と、西洋の文化を同時に楽しめる初めての日になります。

 私はこの記念すべき日を「お月見ハロウィン」と名付けたいと思います。ただし、次に楽しめるのは38年後になりますが。

 ちなみにハロウィンの月の出は東京で16時50分、一番空高い時(南中時)は23時29分で、沈むのは翌日1日の5時18分です。この日に晴れる確率は、過去の統計からいうと札幌60%、東京50%、名古屋73%、新潟47%、大阪63%、広島67%、高知63%、福岡57%の予想です。今年は秋の長雨も終わり、例年より期待がもてそうです。

ウェザーマップ16日予報
ウェザーマップ16日予報

参考文献

月の魔力  A・L・リーバー  藤原美子訳  東京書籍

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ会長

1950年名古屋市生まれ。日本気象協会に入り、東海本部、東京本部勤務を経て41歳で独立、フリーのお天気キャスターとなる。1992年、民間気象会社ウェザーマップを設立。テレビやラジオでの気象解説のほか講演活動、執筆などを行っている。天気と社会現象の関わりについて、見聞きしたこと、思うことを述べていきたい。2017年8月『天気のしくみ ―雲のでき方からオーロラの正体まで― 』(共立出版)という本を出版しました。

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